つい買ってしまうモノ。やめられないモノ。誰にでもいくつかあるだろう。買ってしまう理由をちょっと考えると、「何となく」としか答えられないモノも多い。 そんな自分の中の「何となく」を解き明かしてスッキリしてみようと思った。 コンビニでいつも買ってしまうお酒の話。
発売時に随分と話題になった、トマトのお酒だが、筆者は特に昨年4月発売のサントリー「トマトマ」と、9月発売のアサヒ「トマーテ」を愛飲している。トマトのお酒は合同酒精の「ラ・トマト」が4年ほど前に発売されているが、いずれも随分と好調な販売成績のようだ。
■製品特性分析で勝負の賭けどころを探ってみる
さて、モノの価値がどのような構成要素になっているのかを考えるには、フィリップ・コトラー提唱の製品特性分析が最適なフレームワークだ。以前、当サイトで5層モデルを紹介したが、今回は3層モデルで考えてみよう。
3層は中心から<中核><実体><付随機能>と価値要素に分解されている。
<中核>とは、「顧客が製品やサービスの購入で手に入れたい価値」だ。
<実体>は「製品の特性を構成する価値」。
<付随機能>は「製品の中核価値に直接的な影響は及ぼさないが、その存在によってより魅力が高まる価値」である。詳しくは(図)を参照されたい。
この製品特性分析は、一つのモノの価値構造を明らかにするだけでなく、複数の製品を比較することによって、その際を明確になり、どの部分が差別化要素なのかがはっきりする。この分析で自分のビジネスと競合を比較すれば、勝負の賭けどころがわかるという、なかなか使いでのあるフレームワークなのだ。
では、その3層モデルで「トマトマ」と「トマーテ」を比較してみよう。
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<中核>
【トマトマ】
・トマトを主体とした健康的で美味しいお酒
【トマーテ】
・トマトを主体とした健康的で美味しいお酒
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<実体>
【トマトマ】
・白ワインベース、アルコール12%のカクテル
・味がまろやかになる乳酸発酵のトマト果汁使用
・深い味わいを感じさせる唐辛子由来スパイスの隠し味
・トマトと同じ成分のリコピンを使い、ロックで飲んだ際の氷に映える赤い色を強調
【トマーテ】
・アルコール5%の低アルコール飲料
・隠し味のレモン果汁でよりスッキリとした味わい
・味が濃く香りが強い非加熱濃縮のトマト果汁を使用
・そのままゴクゴク飲めるトマトジュースのようなサラサラとした飲み口
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<付随機能>
【トマトマ】
・他の果汁やアルコールを用いたカクテルを提案
【トマーテ】
・カゴメとのコラボレーションによるトマトのおいしさのエンドースメント
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次のページ■STPで両者の戦略を推測する
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2008.01.24
2008.02.26
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。