仕事のやる気を失わせるその「ミスマッチ」は何の違和? 

画像: Japanexperterna.se

2016.01.07

仕事術

仕事のやる気を失わせるその「ミスマッチ」は何の違和? 

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

自分の能力適性と仕事内容がマッチしないというのは、実は「小さなミスマッチ」です。中長期のキャリアで気にかけるべきは「大きなミスマッチ」です。

◆大きなミスマッチへの処方箋~「アントレプレナビリティ」を養う
こうした大きなミスマッチによる苦悩が生じはじめたときどうすればよいでしょう? 一つの対処は鈍感になることです。すなわち、大きな齟齬に鈍感になって、現職の中に小さな喜びを見つけるようにし、その仕事を継続させていくという消極策です。いわゆる「生きていくためにはガマンも必要。だましだましやっていくさ」という選択で、現実、ほとんどの人がこうしています。そして晴れて定年後に、セカンドライフとして、ほんとうにやりたかったことをやる。

もう一つの対処は、心の叫びどおりに職・環境を変えてしまう積極策です。リスクの低い選択肢としては社内の異動があるでしょう。リスクの高いものとしては社外への転職、起業などです。ここで留意したいのは、社内の異動や社外への転職は、あくまで “雇われる生き方”の継続だということです。会社員というのはどこまでいっても雇用組織の支配下に置かれ、その意味で組織の価値観との整合性の問題は残ります。ある会社を外側からながめてみて「この会社なら価値観は合う」と思って転職したとしても、いざ入社してみるとまったくの予想外で、ミスマッチが解消されなかったということも起こります。

その観点から言えば、起業というのは“雇われない生き方”(実質的には自分で自分を雇う形になりますが)を選択するもので、ほぼ100%自分の意図で事業ができますから、ミスマッチからは完全に解放されます。私自身も起業の道を選びました。身の丈サイズの事業を回し、都心と田舎での2拠点生活を実現する理想像を描いていたことも一つの理由です。自営独立して丸12年が経ち、つねにハイリスクを抱えるスモールビジネスではありますが、十分なリターン(それは必ずしも金銭的なリターンではなく、心身ともに健やかに過ごせるということ)を得ています。

結論として言えば、長いキャリアの途上でやがて来るかもしれない大きなミスマッチに対する根本的な処方箋は何か?―――それは「アントレプレナビリティ」(起業しうる力:本稿だけの造語です)を若いうちから養っておく、です。

「エンプロイアビリティ」(雇用されうる力)では不十分です。なぜなら「エンプロイアビリティ」は、自分が永遠に雇われるということを前提にする考え方だからです。先にも述べたとおり、雇われる生き方はどこまでいっても雇用主の価値観に自分を紐づけなければなりません。それはどこまでいってもミスマッチの問題を抱えることを意味します。だからこそ、「アントレプレナビリティ」(起業しうる力)を養うレベルまで自分を持っていくことが必要なわけです

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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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