日本民族は古来より「モノづくり」をコンピテンシーとする民であり、「コンセプトづくり」が苦手である。しかし、このコンセプトの創造性なしには、国も企業も、また個人も繁栄は持続されない。
自分が携わる分野の商品・サービスにおいて
・新しい概念を顧客に提案し
・それをビジネスモデルとして仕組み化し
・その仕組みや枠組みを他との競争の中で常に再構築していくこと
日々の業務で言えば、
・常に「サムシング・ニュー」を仕事に付加すること
(=同じパターンの繰り返し業務で安穏としない)
・常に未来に仮説を抱き、そこに道筋をつけようと行動する
(=過去の成功分析、後学問で仕事・事業がわかったような気にならない)
・人が普通考えないような角度でものを考える
・新しいキーワードをつくって人々を引き寄せる
・自分が担当業務の場からいなくなっても、業務が回るような仕組みを考える
・自分のアイデアを他者に発信する習慣を持つ
(他者からのフィードバックを得たら、その後、修正アイデアを再発信する)
・新しいことを面白がる
などなど、さまざまあるでしょう。
ダニエル・ピンクの05年の著書『ハイ・コンセプト~「新しいこと」を考え出す人の時代』は、
まさにこれらのことを指摘した意欲作でした。
ピンク氏は、
「これからは、創意や共感、そして総括的展望を持つことによって社会が築かれる時代、
すなわち『コンセプトの時代』になる。
・・・・
『ハイ・コンセプト』とは、パターンやチャンスを見出す能力、
芸術的で感情面に訴える美を生み出す能力、
人を納得させる話のできる能力、
一見ばらばらな概念を組み合わせて何か新しい構想や概念を生み出す能力、などだ。
・・・・
個人、家族、組織を問わず、仕事上の成功においてもプライベートの充足においても、
まったく『新しい全体思考』が必要とされている」
と書いています。
この本の訳者である大前研一氏は、まえがきで次のように補足しています。
「要するに、これからは創造性があり、反復性がないこと、
つまりイノベーションとか、クリエイティブ、プロデュース、
といったキーワードに代表される能力が必要になっていくということである。
・・・・
『答えのない時代』のいま、世の中に出たら、知識を持っているよりも
多くの人の意見を聞いて自分の考えをまとめる能力、
あるいは壁にぶつかったら、それを突破するアイデアと勇気を持った人のほうが貴重なのである」。
パソコンOS、インターネット、ネット通販、検索エンジン、Web2.0・・・
アメリカの国力は、こうした新しいコンセプトを次々に生み出し、
それを具現化し続けるところで維持されています。
一方、生真面目なモノづくりのみをコンピテンシーとする我が国は、すでに黄色信号です。
(国レベルだけの話ではなく、個々の会社レベル、個々の働き手レベルにおいても)
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【5景】これからの時代の人財要件3
2008.01.21
2008.01.17
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表
人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。