看護研究は、多くの医療関係者の参考資料となり、看護全体の質の向上を図る上で非常に役に立ちます。現在では、さまざまなテーマが取り上げられており、各領域において何か分からないことがある際に先行研究を参考にすれば、疑問を払拭することが出来ます。 また、看護研究実施者として、研究内容を濃いものにするために、先行研究の内容
・分析の結果:図や表をもとにした分かりやすい分析結果
⑤考察
・結果までの内容の概略を示す
・結果の解釈や私的・個人的な意見
・先行文献との比較
・結果からみる今後の課題
⑥要約
・研究で明らかになったことを簡潔にまとめる
⑦文献
・本文で引用した文献のリスト
看護研究を行う上で、先行研究を参考にすることは、「①用語の定義を明確にする」、「②先行研究の内容を知る」、「③研究テーマの知識を深める」などの役割があり、必ず読んでおく必要があるのです。
①用語の定義を明確にする
看護研究において、読み手にとって疑問を感じさせないよう、普段なにげなく使っている用語においても、意味や範囲をしっかりと明確にしなければいけません。たとえば、「口腔ケア」という用語に対して、“狭義の口腔内清掃と口腔機能維持・回復のための技術およびそれらを目的とした口腔内アセスメントのこと”というように定義づけます。同じ領域またはテーマの先行研究には、これから書こうとしている研究内容に含まれる用語が多数出てきますので、この用語の定義づけにおいて非常に役に立つのです。
②先行研究の内容を知る
先行研究の内容を知ることで、重複を避けることができます。既に行われた研究をそのまま再度行うのは無意味であり、同様の場合は違う角度から実施する必要があります。また、似たような内容であれば、先行研究を参考にすることで時間と労力を割くことができ、研究に注力することができます。余計な時間と労力を費やしてしまうと、実施している研究の内容が稀薄になってしまうため、同じ領域・分野の先行研究の内容を把握し、反映させる必要があります。
③研究テーマの知識を深める
研究に精通している専門家は当然、同じ分野の先行研究を熟知しています。同じ分野の先行研究を「どこまで正確に把握しているか」、「第一人者は誰なのか」、「起源はいつなのか」など、深い知識を有しておかなければ、根拠がなく正確性に欠ける研究であると受け止められてしまいます。ゆえに、同じ分野の先行研究はもちろん、他分野でも関係の深い先行研究があれば必ず目を通しておかなければいけません。
2、先行研究をどのくらい熟知しておくべきか
まず、同じ分野または関係の深い分野の先行研究に対する知識量が多ければ多いほど、実施する研究の質は高くなります。それゆえ、時間が許す限り、多くの先行研究に熟知しておくことを強くお勧めします。
■同分野の先行研究が少ない場合
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