病院の共同調達は普及するか

画像: PhotoAC acworks

2015.11.16

経営・マネジメント

病院の共同調達は普及するか

野町 直弘
調達購買コンサルタント

先日日経新聞の一面にも取り上げられていましたが、病院の共同購買は今後普及していくのでしょうか。

2点目はGPOは非営利事業体であるということです。GPOはNPO法人が過半を占めているようです。またGPOの会員である病院から加入手数料を徴収する場合もあるものの、CAFも含め収入の70~80%を何らかの形で会員企業である病院に還元しているとのことです。

3点目は2点目とも関わる点ですが、参加企業に対して大きな負担がないということ。加入手数料を徴収する場合もありますが、CAF収入も含め参加者に対して還元しており、参加コストがあまりかかりません。調査によると一般病院の98%は平均して2-3社のGPOと契約締結しているとのこと。この実態を見ても参加のための障壁が非常に低いことが窺えます。

最後は業務コストの視点です。病院にとって購買にかかる業務の手間はたいへん大きいようです。手元にある資料によりますとGPOに委託することで病院の管理コストを1/3程度に抑えられるという試算もあります。いずれにしても病院の本来業務でない購買契約やサプライヤ選定などは、そういった仕事を専門に実施する管理スタッフなどを抱えることができる大病院以外には無くしたい手間以外の何者でもないのでしょう。

ここまで見てみると勘のいい読者の方はすぐに理解されたことと思います。そうです、これは「共同調達」と言うよりもむしろ、「アウトソーシング」なのです。

例えば個人で事業をやっているお医者さんにとっては、人を雇って管理的な仕事をさせるのはコストもかかりますし、リスクもあります。そうすると自分でやらなければならなくなります。しかし、お医者さんにとって本業は医療行為ですから購買契約や発注、在庫管理などはやりたくない手間でしかあり得ないのです。冒頭の病院の8割が購買業務に「満足していない」と答え、理由の一つは「妥当な価格で購入しているかどうかわからない」
と答えている実態から推測するにお医者さんはこのような面倒な仕事をやりたくないのが本音でしょう。もし専門家に任せられるなら任せたいのです。このように考えると購買業務のアウトソーシングのメリットは大きいと言えます。

購買契約やモノを買うということは難しい仕事ではありませんが面倒な仕事です。購入先を探す、購入するものを決める、購入先を比較する、購入先と交渉をする、購入価格を決める、契約をする、等々一つ一つの業務は難しい技術や能力を必要とするものではありません。しかしそれを徹底することは中々面倒なことです。このような業務を専門的に実施する人や部署がなければ、その業務を専門家にアウトソーシングすることによるメリットは大きいでしょう。

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野町 直弘

調達購買コンサルタント

調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。

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