非常識な経営

画像: PhotoAC acworks

2015.10.29

経営・マネジメント

非常識な経営

野町 直弘
調達購買コンサルタント

「非常識な経営」で注目されている日米2社の企業にはある共通点があった。それは従来の収益、効率、低コスト追求だけでなく、信頼、安心、共感、持続というような精神的なものを求めはじめた新しい企業像かもしれません。

こうやって透明性が確保されていると適正な価格かどうかを購入者自身が確認することにつながります。とにかく安ければよい、理由はともかくとして。ではなく最安値ではないが安価である、その理由はこういうことである、と示すことで購入者に安心感を持たせているのです。

米国サンフランシスコの日系VCのスクラムベンチャーズ社のマーケティングマネジャである三浦茜さんによるとこの企業は販売価格を下げるために様々な工夫を凝らしているようです。基本的には少量生産で売り切りするモデルを取っています。またセールは一切しないし、販売はオンラインのみのようです。要するにオンラインでの直販モデルであり、それで低コストを実現しているのです。

もう1社は鎌倉投信という会社です。この会社は主にベンチャー企業、中小企業向けを投資先とした投資信託運用会社です。鎌倉投信の特徴は低リスク低リターンではあるが投資効率が高いファンドの運用で2013年のファンド大賞1位を受賞しています。彼らの特徴はリターン=お金ととらえずに、「資産の形成」「社会の形成」「心の形成」と捉え投資者にとってこの3つが掛け算されることで「幸せ」が最大化すると捉えています。
つまり、投資に対するお金のリターンを最大化するのではなく、小さくても「いい会社」に投資することでその会社を応援し、その会社や社会を豊かにすることで結果的に投資者も心が豊かになるということを目指しているのです。

鎌倉投信は彼らが考える「いい会社」にのみ投資をしています。彼らは14項目に上る「いい会社」の特徴を上げていますが、最終的には「主観的」に「いい会社」かどうか判断しているそうです。判断基準の一例としては、例えば「100年後の子供たちに、この企業や企業の製品を残したいと思えるかどうか」といったような数値で現わせないような判断基準を持っています。

鎌倉投信の投資先企業にはこのような価値判断から徹底的に環境問題へ取組みをしている会社とか、徹底的に地域に根差している会社など、社会的な存在意義が高い企業が多く、最近では「彼らが投資するならいい会社に違いない」という新しい信用まで生み出しているとのことです。
鎌倉投信も従来のハイリスクハイリターン(お金)を追及する従来型の投資運用会社と比較すると正に「非常識な経営」と言えます。

今回取り上げた2社はいずれも今までにない「非常識な経営」で差別化に成功している事例と言えますが、実はこの2社には共通点があります。

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野町 直弘

調達購買コンサルタント

調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。

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