35歳以上の「中年フリーター」の増加に歯止めがかからず、現在では270万人以上に上っているとのことです。 この「中年フリーター」を正社員化するために様々な施策が実施されていますが、果たして実効性はあるのでしょうか?
このような場合には、当該業務が原則として「コア業務」に属するものであるならば、原則としてその業務を担当している非正規社員を正社員に登用し、「非正規社員の流動化リスク」に対応しておく必要が生じます。
逆に「ノンコア業務」に属するものであるならば、当該業務は非正規社員に担当させ、正社員については、より高い付加価値を創出できる「コア業務」にシフトさせなければ、企業全体の生産性の向上には結びつきません。このように、業務全体を「コア業務」あるいは「ノンコア業務」のどちらかに大別し、其々の業務に適した人材を配置することにより、「同一労働同一賃金」の問題については、解決への道筋が見えてくるはずです。
■「人材ポートフォリオ」を活用した、きめ細かな対策を
中年フリーターの正社員化を促進するためには、以下のような「人材ポートフォリオ」を用いて該当者を分類し、それぞれのゾーンに適した対策を講じる必要があります。
「人材ポートフォリオ」の図は、縦軸に「労働意欲・資質」横軸に「専門知識・スキル」を取り、それぞれのレベルを掛け合わせて、4つのゾーンに分類しています。
35歳以上の人材を対象とした場合、現在非正規雇用の人の中で、一般企業に正社員として入社できる可能性があるのは、仕事への強い意欲を持ち高いスキルも併せもつ、右上の「ハイパフォーマー」に属する人材だけとなります。この「ハイパフォーマー」については、能力的には十分に正社員が務まるのに、何らかの事情により非正規社員に留まっているような人材が該当します。
よって「ハイパフォーマー」に属する人材の場合には、該当する人材が属する勤務先に対して正社員化を働きかけるか、または他の企業とのマッチング機会を増やしていくことなどの施策が、正社員化への途となります。よって、東京都が進めている紹介予定派遣制度を活用した「正社員就職サポート事業」などの施策が効果的と考えられます。
問題は、その他のゾーンに分類される人材への対応となります。「ハイポテンシャル」に属する人材は働く意欲があり、人的資質も標準レベル以上のものを持っているものの、キャリアの中断等の理由により、スキルが陳腐化してしまった人材等を想定しています。例えば、正社員で働いていたものの家庭の事情などで一旦退職し、数年経った後に復職を希望したもののスキルが陳腐化した結果、正社員の職に就けず現在はパートで働いている人などが該当します。このような人材の場合は、正社員に必要とされる各種スキル修得のための再教育の場や実習の機会等を提供することで、正社員の職を得る機会が増えていくことが予想されます
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2015.07.17
2009.10.31
川崎 隆夫
株式会社デュアルイノベーション 代表取締役
経営コンサルタントの川崎隆夫です。私は約30年にわたり、上場企業から中小・ベンチャー企業まで、100社を超える企業の広告・マーケティング関連の企画立案、実行支援や、新規事業、経営革新等に関する戦略計画の立案、企業研修プログラムの策定や指導などに携わってきました。その経験を活かし、表面的な説明に留まらず、物事の背景にある真実が浮かび上がってくるような、実のある記事を執筆していきたいと思います。