先日新聞報道で西日本の電力会社が共同調達推進で将来的には年間1000億円の費用削減を目指すという記事がでていましたが、共同調達で本当にコスト削減ができるのでしょうか、というお話です。
先日(7/27日)日経新聞で西日本の電力会社が共同調達を進めていくという記事が掲載されていました。
この記事は関西電力が(中心となり)西日本の電力会社4社と送配電設備を共同調達することで将来的には合計で年間1000億円規模の費用削減を目指すというものです。
共同調達については概念はともかくあまり上手くいっている事例を私は知りません。特に資本関係がない企業間の共同調達は、成果が出る以前にコンセンサスが得られずに失敗に終わってしまうケースが殆どです。
今回は共同調達のメリットや成功へのポイントについて考えてみます。
記事にも出ていますが共同調達は基本的には費用削減、つまりコストを下げるために進めるものです。そこで一つ疑問が出てくるのは、「果たして共同調達は本当にコスト削減につながるのだろうか。」ということ。
サプライヤにとってみるとある特定のサプライヤの生産量、販売量が増加する訳ですから、総論的にはメリットがないことはないでしょう。しかし、共同調達のコスト削減メリットを捉えるときには、メリットが出る場合と出ない場合など、もう少し細かく層別化して考える必要がありそうです。
例えばメリットが出たとしても
①生産量、販売量の増加によってサプライヤのコストが下がる
②サプライヤ間の競争が厳しくなるので、サプライヤがマージンをはき出す
③サプライヤが営業戦略上値下げに応じる
というようにその要因が違うのです。
①生産量、販売量増加によりサプライヤのコストが下がる、という場合ですが、これは生産数量、販売数量増加によりサプライヤがモノを作るための設備投資の償却コストが下がること、生産習熟度が高まるため生産コストが下がること、量が増えることで単位当たりの管理コストが下がることや、段取り替えに掛る単位当りの加工費が下がることなどがあげられます。この場合はサプライヤにかかるコストが確かに下がっているのですから、共同調達のメリットありです。しかし、これらのサプライヤのコスト削減についても以下の4つ位のケースにわけて考える必要があります。
1)100の生産、販売数量が101に増える程度のマーケットが大きい汎用品、標準品
2)マーケットやサプライヤの規模が小さく100の生産、販売数量が110になる位の汎用品、標準品
3)カスタマイズ品であり、数社の数量を合わせると50の生産、販売数量が100になるような品目
4)カスタマイズ品であった買いモノを共同調達することをきっかけに買うモノを揃えサプライヤの標準品を買うようにすること
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2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。