戦略的購買とリワイヤリングという一橋イノベーション研究所の西口教授の話にインスパイアされ、今まさにその転換期であるというお話です。
実際にある企業の調達部門担当役員からこういう話を聞きました。
評価が低いがこちらを向いてくれているサプライヤと、評価が高いがこちらをさほど向いてくれないサプライヤでは、躊躇なくこちらを向いてくれるサプライヤを選択する、これは当社の調達方針である、と言っています。
またある企業ではサプライヤモチベーションを向上させるためにどのような施策を打てば効果的か、サプライヤ毎に調査を行い、モチベーション向上施策を取っているという状況です。
このように「協働」とそのためにどうしたら良いか、という世界感が今でこそ広がっていますが、1994年という時代に「戦略的購買」という概念を確立しているという西口教授の先見性には頭が下がります。
次は「リワイヤリング」です。
西口教授は"近所づきあい"的な、どちらかというとクローズで親密なネットワークをレギュラー・ネットワークと言っています。そしてレギュラーネットワークの一部が他のレギュラーネットワークや新しい参加者と交流することで「リワイヤリング」が行われ膨大な情報が流れ、可視化する現象がおきる現象が一般的であり、そのようなネットワークをスモールワールドネットワークや"遠距離交際"と呼んでいらっしゃいます。
確かにその通りです。社会に存在するネットワークの多くはレギュラー・ネットワークです。レギュラー・ネットワークの多くはかなりの確率で時間と共に衰退します。そこに流れる情報はそのネットワークにいる人に依存する訳ですから、新しい人がどんどん参加するようなネットワークでなければやはり陳腐化するからです。私自身購買ネットワーク会という調達購買に携わる異業種・異企業間のの交流会を2005年に立上げ、幹事を長くやっていました。ここでこころがけたのはネットワークの固定化を防ぐことです。具体的にはネットワークメンバーを固定化しないで常に新しい人に門戸を開く、主幹事を固定化しない、東京だけでなく地域に新しいネットワークを作ることを推奨する、レギュラーネットワークだけでなく派生した分科会のようなネットワークを推奨する、等々。
もちろん私はこれを「リワイヤリング」と意識してやってきたわけでもありません。また、私一人でできたこと、やってきたことでもありませんが、結果的には「リワイヤリング」そのものであり、「リワイヤリング」の重要性を改めて感じた次第です。
おかげさまで、先のネットワーク会は今でも地域版も含めると4地域で開催されており、個人では先日ネットワーク会から派生した分科会活動の発起人として学会で発表をするまでに進化しました。
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2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。