誤字ツイートから1日で商品化決定。「面白そう」と「スピード」、「話題作り」でニッセンの激怒TシャツはSNSマーケティングの道を拓いている。
もう一つ、重要なファクターが「スピード」である。この激怒Tシャツは驚くべき速さで商品化の意思決定がされる。2015年1月8日14時頃に発端となった誤字ツイートがあり、翌1月9日12時前に商品化決定のツイートがあるのである。あたりまえながら、商品化するためには、「どれくらい売れるのか?」という問いに答えなければならない。通常の企業ならそれなりの市場調査をしてから上申するのではないだろうか。今回スミス氏はおそらく、数百人レベルのツイッターでの反応があった時点で商品化を企画している。Tシャツのプリントデザインであれば比較的商品化しやすいとは思われるが、それにしても次の日に「上司の承認とったぞ」はさすがに驚く。
「面白そう」なだけの企画を異例の「スピード」で意思決定する。なぜ、そんなことができたのか。これは、あくまでも想像だが、ニッセンが企業公式アカウントたちによる「話題作り」の力を信じたからではないだろうか。彼らはすでにツイッター契機での異業種コラボをいくつか実現していて、「面白い」ものに人が集まることを経験値として持っている。この #激怒T に企業公式アカウントたちが便乗し、拡散される様をほぼリアルタイムで見ていたが、企業ブランディングや広報を担当しているのであろう彼らの「面白そう」に対する感度は、さすがなのである。この企業公式アカウントたちの反応を見て、ニッセンは商品化を決意するのだ。
この件に関して先日、面白い記事が公開された。『激怒Tシャツ騒動を可視化。話題拡散に寄与したアカウントは?』(http://buzzoo.jp/social/article/4337)というツイッター情報分析結果である*3。集計期間が1月8日から13日なので、意思決定後の動きも含まれているが、「話題作り」がどのように行われたかがわかりやすい。詳しくはこの記事を見てもらいたいが、この分析で、『実際のやり取りで楽しむ集団』と『ネットの1つの話題として楽しむ集団』の二つの集団が見られるのが興味深い。そして、個人的に注目したのは、この二つの集団を橋渡ししているシャープ公式アカウント(@SHARP_JP)の存在である。シャープ公式は18.7万のフォロワーを擁している。これはニッセン7.7万、パインアメ5.1万を足したより多い。Tシャツにまったく関係のない電機メーカーが「話題作り」に貢献するというこの事実もSNSの可能性を秘めている。
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