トヨタの改革手法の凄さ

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2015.01.22

経営・マネジメント

トヨタの改革手法の凄さ

野町 直弘
調達購買コンサルタント

トヨタの改革手法の「姿置き」と「BR」の共通点とその凄さについて述べます。

まさに目から鱗だなと、記事を読んで思った次第です。

同時にこの記事に共通するようなトヨタの業務改革があることを思い出しました。
それは「BR」組織の導入です。BRはBusiness Reformの略で「トヨタ自動車75年史」のウェブサイトによりますと1993年7月に事務部門を対象にはじめて導入されました。当時はバブル崩壊による国内不況と円高による収益悪化にどの企業も悩まされていました。一方でマイケルハマーの「リエンジニアリング革命」に代表されるBPR(ビジネスプロセスリエンジニアリング)をどこの企業も取り組んでおり、特に間接部門の生産性を高めるための業務改革が進められている時期でもありました。
多くの企業やコンサルティング会社はBPRをパッケージソフトを使ってやっていこう、ということでSAPなどのERPの導入と業務プロセス改革をセットで進めていました。日本企業でも多くの企業が間接業務改革に取り組んでいたのがこの時期です。
私もコンサルティング会社でBPRのプロジェクトを担当していましたのでこの頃のことは良く覚えています。しかし、この当時の流れとは別の取組みをしたのが、このトヨタ自動車のBR活動です。トヨタ自動車は既存業務の「30%削減」を活動目標として掲げ、その取組みを行う人員を既存組織の中から人選し推進をさせました。つまり既存組織の人員の中で2割の人員をBR推進として任命し、8割の人員で既存業務に対応させたのです。
8割の人員で今までの業務を半ば無理やりやらせようとすれば当然できません。そうするとどうしても業務のやり方を変えざるを得ません。このようにして無駄な業務を止め業務改革を進めさせる手法がこの「BR組織」の導入です。
「BR」は人員を先行して既存組織から分離するため、既存業務の効率化に大きな効果をもたらし、トヨタのみならずトヨタグループ企業でも現在でも「BR」の取組みは続いています。
また事務部門だけでなく技術や生産技術部門にも「BR」活動は拡大しているとのことです。「BR活動」はこの当時の一般的なBPRとは異なった取組みでしたが効果的な取り組みであったことは間違いありませんし、正にトヨタ的なやり方と言えるでしょう。

「姿置き」と「BR」には共通点があります。それは「ルールの明確化と徹底」です。
「姿置き」におけるルールはここが定位置ですよ、というルール。「BR」におけるルールは人員の2割カットです。そしてこのルールは無意識に徹底させることができます。
「姿置き」は「ここが定位置であることを無意識に従わせる」ことであり「BR」は「2割も人員を削減されるのなら業務のやり方を変えなければ無理だ」と無意識に思わせることです。ルールを明確化するためには分かりやすいルールでなければいけません。また徹底させるためには無意識に徹底させなければならないのです。

多くの企業改革で一番難しいのがこの「ルールの明確化と徹底」でしょう。
「トヨタの改革手法」の凄い点はこの改革の成功につながるポイントをおさえていることなのではないでしょうか。学ぶべき点が非常に多いことを改めて感じた次第です。

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野町 直弘

調達購買コンサルタント

調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。

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