多くの企業は誤った目的(短期的なコスト削減と購買システムの導入)の元にあまりにも近視眼的な活動を何度も繰り返しているだけではないでしょうか。これがこの十数年間の間接材購買の過ちと私は確信しております。
この比率を100%にすることは非常に難しいことです。またガイドラインやルールに基づいたソーシング業務をしていたとしても適正かどうかは分かりません。価格の妥当性なども、例えば市場価格に比して価格の妥当性があるかどうかチェックができて初めて適正なソーシング業務と言えますが、そこまで徹底できている企業は殆どありません。
しかし、少なくとも管理可能支出の比率を高めていくことが企業としての主要な目的の一つであることは間違いないでしょう。
10年前位の購買システムが世の中にでてきた当時には、購買システムを導入すれば発注段階で調達購買部門が必ず承認をするので、すくなくとも発注の段階で100%支出を把握できる、と考えられていました。
しかし、単にシステムを導入しただけでは支出を100%把握できません。何故なら発注行為を伴わない支出(例えば毎月事前に行った契約に基づき使用料に応じた請求が行われるような電力料、通信費など)もありますし、ルールを無視してシステムを通さずに(もしくは調達購買部門を通さずに)支出していることはごくごく一般的に発生しているからです。
そもそも口頭で発注し請求書払いを許しているような企業では発注プロセスの定義すらできません。また個人で立替えている経費精算などもそうです。出張に行くのに領収書はともかく自社のシステムから発注書を発行してJRに発注をしているなんてことは通常の商習慣上あり得ません。
つまり購買システムを導入しシステム経由でサプライヤに発注をするようにしてもシステムで発注を行わない支出は普通に発生するのです。
システム経由で100%支出を把握することは難しいですが「支出の可視化」や「管理可能支出」で特に問題なのは、ルールでは発注をしなければならないのにそれを無視した発注を行っている場合や、複数社コンペが義務付けられているにも関わらず相応の理由なしでコンペを行っていないなどのルールを無視した支出です。このような確信犯的な支出にこそ企業にとっての無駄が含まれています。
それではこのような無駄な支出を抑制するためにはどうすればよいでしょうか。
支出の可視化をしていく上で考えられる方法は以下の4つの段階(方法)が考えられます。
1.見積りの段階
2.予算承認の段階
3.契約・発注の段階
4.支払の段階
しっかり支出管理や支出の見える化をしていこうと考えている企業はこれらの何れの段階かで支出を可視化することを進めています。
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2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。