/リンゴを求めて山をさまよっても、時間のムダ。確実に手に入れたければ、自分の足下に種を撒いて育てるしかない。種は実とは似ていないし、苗を育てるのも容易ではないが、諦めずに世話をし続けてこそ、いつか花が咲き、実がなる年もやってくる。/
こんな努力、あまり人に言いふらすものでもない。種を植えただけでは、芽が出て伸びるかどうかもわからない。苗でも枯れることもある。たとえ花が咲いても、実にならないかもしれない。どうせ人に言ったところで、他人は、種や苗を見ても、それが何の実になるのかわかってもらえるわけがない。わかってもらえたところで、なにか手伝ってもらえるわけでもない。逆に、花が咲き、実がなると、それだけでも目立つのだから、その実を盗んでやろうとか、落としてやろうとかいう面倒な嫉妬深い連中も寄ってきてしまう。むしろ静かに黙って、自分と家族、親しい友人たちだけで、おいしく味わい、また、来年を楽しみに、世話を続ければいい。
いま幸せな人を見て、指をくわえて見ていても、他人の幸せは、けっしてあなたのものにはならない。幸せは、いくら探しても、道には落ちてはいない。自分で種から育てるのでなければ、自分の幸せは手に入らない。
by Univ.-Prof.Dr. Teruaki Georges Sumioka 純丘曜彰教授博士
(大阪芸術大学芸術学部哲学教授、東京大学卒、文学修士(東京大学)、美術博士(東京藝術大学)、元テレビ朝日報道局『朝まで生テレビ!』ブレイン。専門は哲学、メディア文化論。)
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2015.07.17
2009.10.31
大阪芸術大学 哲学教授
美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。