~ 無名のおっさん達から学んだ人生~ 第3回:結果で語る人 橋詰徹
- 膨大なドキュメント間の関連性、全体の構造を把握
- 各条項の目的の把握
- 因果関係で紐づけ
- ポイントとなる条項をまた全体的な視点で押さえて整理しておく
といった具合だ。 こうした思考回路を身に着けないと彼のスピードには到底ついていけない。 結果、コンサルタントとしてとても大切な構造化の能力が身についた。
彼がドキュメントを読む時の集中力はすさまじい。タバコに火をつけると思考のスイッチが入るようだ。 カッコよかった。
私はタバコは吸わないが、この思考のスイッチを入れる動作を私はいまだに真似をしている。 集中してドキュメントを読みたい時は、別の席に移動して思考のスイッチを入れるのだ。 不思議と橋詰さんのように頭が整理整頓されて内容が入っていくような気がする。
もう一つ、忘れられないエピソードがある。 前述の通り、彼は部下や若手に言葉で何かを教えることはない。 自分自身のアウトプットを見せつけて、ついてこれる奴だけついてこいというアプローチだ。
一緒に出張に行ったときの帰りの新幹線。 橋詰さんが「さ、ビール飲もうぜ」と言って、一緒にビールを飲んだ。 いい感じに酔っぱらってひと眠り。 そろそろ東京に到着するタイミングで目を覚ますと・・・
橋詰 「あ、これ今日の議事録書いといたから、お客さんに出しといて。」
やられた・・・。
どんな状況でも(酒飲んでよっぱらってでも)やるべきことはやれ、というメッセージだったのだろう。
部下がやるべきことをやらない時、彼は注意するよりも先に自分でやってしまう。 そこで、『恥ずかしい』『悔しい』と思うか、『作業が減ってラッキー』と思うか。
後者であればその人はもう終わりだ。
クールな理論派であまり仕事の姿勢についてはとやかく注意されることのなかった橋詰さんからの強烈なマインド指導だった。
私も最近、プロジェクトで下についたメンバーにそうしたアプローチをしたことがある。当時の橋詰さんに倣ったのだ。
あるメンバーの担当しているアウトプットがあまりに遅かったので、週末に私がやってお客さんに出しておいた。
その担当は翌日それを見て、申し訳なさそうに謝ってきた。 よかった。彼は当時の私と同じように『恥ずかしい』『悔しい』と感じてくれたらしい。
そして、私自身、橋詰さんのように自分が結果を出すことで、若い人達を引っ張っていくようなビジネスマンになっていきたい、と改めて感じた。
橋詰さんはトーメンが吸収された豊田通商にそのまま異動し、 今も秀才ぶりを発揮しているらしい。 部下の方はさぞかし大変だろう(笑)
Insight Now Visionary 戸井雄一朗
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