2014年1月、あらゆる業界で新年会が開催されています。挨拶周りなどもあり、久々の人との再会も多いことでしょう。新年早々、記者会見を開く企業もあり、心身ともに引き締めなくてはいけない場面では、やはり白シャツを選ぶ人が多いようです。著書『できる人はなぜ「白シャツ」を選ぶのか』では“基本”のキーワードである「白シャツ」ですが、実際にはどのように着こなすと印象マネジメントとしてプラスになるのでしょうか。
さて、糸について若干触れておきます。糸そのものの素材にはコットンや麻、シルクといった自然素材のほか、ナイロン、ポリエステルなどの化学繊維があり、それらを混ぜたものを合成繊維といいます。乾きが速いとか丈夫であるなどといった機能については触れませんが、こういった素材でできている糸そのものの太さが印象に影響します。
番手という単位がそれです。数字が多ければ多いほど糸そのものが細くなるため、1体積あたりの重量が軽くなります。私が著書で主張した最高級なドレッシーシャツ生地とされるロイヤルオックスフォードは100番手程度です。つまり、とても軽い生地をつくってくれます。着心地、触り心地だけでなく、見た目にもさらっとした高級感があります。
さらに織り方です。さきほどのオックスフォードとは通気性の良い夏向きの生地でボタンダウンシャツなどに使われる織りです。柔らかく美しい光沢があり、ふっくらした風合いがあり、シワも付きにくく、しかも丈夫なので、スポーツウェアーにも用いられています。著書に対する疑問点として、どなたかがサイトで指摘してくださったようにオックスフォードそのものはどちらかといえばカジュアル向きですが、昨今のクールビズではもてはやされている生地のひとつでもあります。その中で番手の大きなロイヤルオックスフォードは、あのロロピアーナでも定番シャツとして数万円で売られているシャツ生地です。
高度経済成長時代には、とくに丈夫さ、乾きやすさの点で化学繊維や合成繊維がもてはやされ、なんとなくペラペラで堅い触感のYシャツが主流でした。しかも、会社に泊まり込む毎日を耐えてきた生地は黄ばんだ印象となり、働き蜂のキーワードともいえる白シャツです。
しかし、原点回帰時代ともいえる今、原点である白シャツを見直せば、個性を演出するにも、きちんとした自分を相手に主張するためにも、相手への敬意を表すためにも、あらゆる場面で活用度の高い白シャツなのです。
食でいえば、最近世界無形遺産となった「和食」と似ています。何気ないシンプルな料理だからこそ、素材、ダシ、もりつけ、食する空間で、大きく結果が変わります。奇をてらわず、基本を押さえて、飾り過ぎず、本来の素材を活かす。良くも悪くも「どう向き合うか」が問われます。 まさに、白シャツも、どう向き合うかで印象に大きく差がつくアイテムだからこそ、それぞれの印象管理の懐刀として大切に活用していただきたいと願ってやみません。
※ちなみに、シャツについてもっと詳しく知りたい方、こちらの山喜のシャツ百科がとても勉強になります。ぜひご覧ください。 http://www.e-yamaki.co.jp/yamaki/shirts/top3_history.html
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ファッション
2014.01.12
2023.06.07
株式会社パーソナルデザイン 代表取締役
「自分らしさをデザインする。」をコンセプトに、独自のパーソナルアイデンティティ分析を基に業界・業種・役職に合った「自分らしさ」をスタイリスト、ヘアデザイナー、ボイストレーナー、演出家ほか各種スペシャリストとともに演出をサポートしています。ビジネスパーソンのためのパーソナルプロデューサー、が肩書きです。