最近、営業コンサルタントが活動量を増やす事を絶対的な売上改善手法であると語るケースが多くなっています。その風潮に一石を投じるために書き記しました。
行動するということは、当然失敗のリスクを伴います。失敗のリスクは行動量が少ない場合と同じだとしても、失敗の絶対量は増えていきます。もし「半沢直樹」のように、一度の失敗で島流しというような環境にいるならば、できる限り行動はせずに大人しくしている方が身のためですが、現実の世の中はそんなに捨てたものでは無いはずです。
行動量を増やすことで、失敗の絶対量は増えますが、当然のことながら成功の絶対量も増えます。成功をやり直して失敗に向かうというベクトルは働きませんが、失敗をやり直して成功に向かうというベクトルは、いくらでも向けることが出来ます。したがって、失敗から学び新たな行動さえ起こすことができれば、必ず成功率のほうが逓増していくのです。そこが行動量を増やすことのほんとうの意味です。行動が少ない場合と行動が多い場合、成功の確率は一定ではなく、失敗から学んで再チャレンジする行動を取ることができれば、確率をも凌駕するということなのです。
それでは本題の、営業マンの行動力格差について論じてみましょう。
営業の行動格差は見込み顧客リストを作るためのアプローチ件数格差です。営業マンに限らず、全ての営業活動は見込み顧客の数を極大化することを目指すべきと考えます。
例えば、見込み顧客数が500人でクローズ率が40%の場合と、見込み顧客が300人でクローズ率が50%の場合を考えてみましょう。極めて単純な計算で、顧客になってくれる数は前者が200人、後者が150人となるのは誰が見ても明確です。通常、質において数十%の差をつけるということは実に難しい数字ですが、アプローチ顧客数を1.5倍にすることは、訪問数やアプローチ数を1.5倍にすることを意識すれば必ず達成可能です。
もう一つ明確なことは、クローズ率は百分率ですから100%を超えることはありません。繰り返しになりますが、どれだけ研鑽しても100%を越えるクローズ率はありえません。今回の場合で言うと50%のクローズ率はどう頑張っても2倍の100%以上になることはないのです。しかも、全ての見込み客をクローズするというのも現実的ではありませんから、実際のクローズ率はどんな営業でも一定の確率に収斂するはずです。
すなわち、顧客へのアプローチ数は、努力と根性と効率化により極大化出来ますが、クローズ率は一定以上のところで必ず頭打ちするということです。したがって、まずは訪問件数を極大化することを目指して努力と根性で2倍の行動を取ることが、目標達成のために必ず必要となります。
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2015.07.10
2015.07.24
株式会社リアルコネクト 代表取締役
【自己紹介】 BtoB営業組織改革・新規事業開発を専門とするコンサルタント。新規事業企画担当者・営業マネージャー・B2Bマーケッター・営業マン向けのセミナー/研修/ワークショップの講師・ファシリテーターを中心に営業組織改革、新規事業開発支援等のコンサルティングを行っている。 【保有資格】 中小企業診断士・経営管理修士(MBA)・日本酒利酒師