研修現場から~「成長すること」の具体的体験を書き出し、そこから成長の本質を抽出する。そうした演習によって、各自に成長とは何かを腹に落とさせていく。
日本の伝統芸能の世界では「守・破・離」という言葉が使われる。その道を究めるための成長段階を表したものである。
「守」:
師からの教えを忠実に学び、型や作法、知識の基本を
習得する第一段階。「修」の字を置く場合もある。
「破」:
経験と鍛錬を重ね、師の教えを土台としながらも、
それを打ち破るように自分なりの真意を会得する第二段階。
「離」:
これまで教わった型や知識にいっさいとらわれることなく、
思うがままに至芸の境地に飛躍する第三段階。
これを「枠をめぐる3種類の人間」として、現代風に焼き直したものが下図である。
1番目に『枠の中の「優秀者」』。
2番目に『枠を変える「変革者」』。
3番目に『新たな枠をつくる「創造者」』。
後にいくほど難度・リスク度は高くなり、その分、成長度も大きくなる。
あなたは、そして、あなたの組織は、どのレベルで満足しているだろうか?───と自問してほしい。
* * * * *
○〈成長を考えるヒント3〉
挑戦して失敗することも立派な成長である。
成功の反意語は失敗ではない。「挑戦しなかった」ことである。
何かに挑戦する。その時点で、あなたは成長を手に入れている。
成功すればもちろん技術の習得や経験知、自信、人とのつながりなどを得ることができたはずだし、仮に失敗したとしても、やはり経験知を得ている。発明王トーマス・エジソンがこう言い切ったように───「私は失敗したことがない。うまくいかない 1万通りの方法を見つけたのだ」。
成功するにせよ、失敗するにせよ、いったん挑戦すれば、いろいろなものが内的資産として貯まる。そこには同時に次の挑戦の「種」が宿される。そしてまた挑戦に向かう。すると、また新しい内的資産が貯まり、次の「種」が宿される。そしてまた挑戦する……この繰り返しが、成長という名の「勇者の上り階段」となる。
挑戦は、成長を約束する。
成功の反意語は失敗ではない。「挑戦しなかったこと」である。
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【働くこと原論】 強い仕事をするための肚づくり
2013.11.04
2013.09.05
2014.01.17
2014.01.08
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表
人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。