『アクティブ・ノンアクション』不毛な多忙

2007.04.17

仕事術

『アクティブ・ノンアクション』不毛な多忙

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

月々日々、忙しく動き回っているが(=アクティブ)、その実、大した価値あるものを残していない(=ノンアクション)状態をいう

【ピンときた!コンセプト:PIN !-cept #01】=======

久しぶりに示唆の多い新書を読みました。
個人的には、近年読んだリーダーシップ関連の本で
最も推薦したい中の一冊です。

『リーダーシップの旅 見えないものを見る』
野田智義・金井壽宏 著
光文社新書

です。

この中で紹介されているのが、
『アクティブ・ノンアクション』(active non-action)です。
行動的な不行動、不毛な忙しさ、
多忙ではあるが目的を伴う意識的行動をとっていないこと、
の意味を含んでいます。

このコンセプトは、もともとは、
野田さんが翻訳した
『意志力革命』(ハイケ・ブルック、スマントラ・ゴシャール著)
で起こされたものです。

さらにそのブルック氏とゴシャール氏は、このコンセプトを
哲学者ルキウス・アンナエウス・セネカが言及した
『busy idleness』(あくせくしながらも結果として何もしないこと:怠惰な多忙)
をヒントにしています。

セネカが約2000年前の人物だということを考えると、
人類の“不毛な忙しさ”問題は、古今東西を貫く一大問題なのかもしれません。

確かに私たちのビジネス生活は
多忙さに追い立てられ、それが止むことがありません。
でも、1日、1ヶ月、1年、3年を振り返って、
何か本当に意義のあることを成しえているのか・・・・?

忙しく立ち振る舞っているだけで、
何か仕事をやって気にはなっているが、
世の中にとってどうでもいいようなことを
単に処理していただけではないか。。。。

私が4年前にサラリーマンを辞めて、独立を決心したのも
実はこの“不毛な多忙さ”生活に辟易したからです。

最後に勤めた会社は、国内では最大規模のIT会社で
そこで管理職をしていましたが、

指示待ち・決済メールの山、
会議のハシゴ、
上部への根回し・プレゼン、
予算管理、労務管理、
そしてきょうもアウトルックのスケジュールには、
部下からどんどん予定がほうり込まれてゆく。
根本的に意義ある事業を企画して、創造したりする時間が捻出できず、
大会社という機関車を止めずに走ることだけの
管理業務に振り回される日々に、

「これでは自分の人生時間がもったいない」
と内なる叫びがこだまし、今日に至っているわけです。

独立後、仕事の忙しいことにかわりはありませんが、
不毛でないところが、私にとって重要な転換になっています。

『ウォールデン 森の生活』で知られるアメリカの思想家ソローは
「忙しいだけでは充分ではない。問題は何で忙しいかだ」
と書きましたが、

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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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