月々日々、忙しく動き回っているが(=アクティブ)、その実、大した価値あるものを残していない(=ノンアクション)状態をいう
【ピンときた!コンセプト:PIN !-cept #01】=======
久しぶりに示唆の多い新書を読みました。
個人的には、近年読んだリーダーシップ関連の本で
最も推薦したい中の一冊です。
『リーダーシップの旅 見えないものを見る』
野田智義・金井壽宏 著
光文社新書
です。
この中で紹介されているのが、
『アクティブ・ノンアクション』(active non-action)です。
行動的な不行動、不毛な忙しさ、
多忙ではあるが目的を伴う意識的行動をとっていないこと、
の意味を含んでいます。
このコンセプトは、もともとは、
野田さんが翻訳した
『意志力革命』(ハイケ・ブルック、スマントラ・ゴシャール著)
で起こされたものです。
さらにそのブルック氏とゴシャール氏は、このコンセプトを
哲学者ルキウス・アンナエウス・セネカが言及した
『busy idleness』(あくせくしながらも結果として何もしないこと:怠惰な多忙)
をヒントにしています。
セネカが約2000年前の人物だということを考えると、
人類の“不毛な忙しさ”問題は、古今東西を貫く一大問題なのかもしれません。
確かに私たちのビジネス生活は
多忙さに追い立てられ、それが止むことがありません。
でも、1日、1ヶ月、1年、3年を振り返って、
何か本当に意義のあることを成しえているのか・・・・?
忙しく立ち振る舞っているだけで、
何か仕事をやって気にはなっているが、
世の中にとってどうでもいいようなことを
単に処理していただけではないか。。。。
私が4年前にサラリーマンを辞めて、独立を決心したのも
実はこの“不毛な多忙さ”生活に辟易したからです。
最後に勤めた会社は、国内では最大規模のIT会社で
そこで管理職をしていましたが、
指示待ち・決済メールの山、
会議のハシゴ、
上部への根回し・プレゼン、
予算管理、労務管理、
そしてきょうもアウトルックのスケジュールには、
部下からどんどん予定がほうり込まれてゆく。
根本的に意義ある事業を企画して、創造したりする時間が捻出できず、
大会社という機関車を止めずに走ることだけの
管理業務に振り回される日々に、
「これでは自分の人生時間がもったいない」
と内なる叫びがこだまし、今日に至っているわけです。
独立後、仕事の忙しいことにかわりはありませんが、
不毛でないところが、私にとって重要な転換になっています。
『ウォールデン 森の生活』で知られるアメリカの思想家ソローは
「忙しいだけでは充分ではない。問題は何で忙しいかだ」
と書きましたが、
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2007.04.23
2007.06.19
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表
人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。