2013.05.25
コミュニケーションが難しいメンバーを動かす3つの原則
柏 陽平
プロジェクトマネージャに要求されるQCD(品質およびスコープ・コスト・納期)の達成水準は、ますます厳しくなるばかりだ。 それにも関わらずプロジェクトマネージャは、外国人、メンタル不調の社員、報連相ができない社員など、コミュニケーションが難しいメンバーと協力してプロジェクトを進めざるをえない。 カギを握るのは、多様な背景や行動特性をもつメンバーを動かすための「攻めのダイバーシティ・マネジメント」だ。
やる気や以心伝心に依存したコミュニケーションは効果なし。
共通基盤に基づくコミュニケーションで、チームメンバーに動いてもらう
マネジメントの仕事とは、本来、「人に動いてもらい、目的を達成すること」です。
コミュニケーションが難しい人材に、ミスなく、最小限の工数で、納期どおりに仕事をしてもらうためには、「見える化」「構造化」「標準化」の3つの原則が必要です。この3つの原則を押さえることで、「コミュニケーションが難しいチームメンバーを、“生産性を阻害する人材”から“生産性を向上する人材”に変えること」が、本連載記事の一貫したメッセージです。
私は、この3つの原則に基づく仕事の管理をすることで、遠隔地の外国人技術者、メンタル不調のある人、アスペルガー症候群などの発達障害のある人などとのコミュニケーションを、劇的に改善することができました。なぜなら、やる気や以心伝心に依存したコミュニケーションから、ツールやプロセスなどの共通基盤に基づくコミュニケーションへ、シフトさせることができたからです。
「見える化」「構造化」「標準化」で、チームの共通基盤を作り上げる
多様な背景や行動特性をもつ、同質性の低いチームでは、ツールやプロセスなどの共通基盤に基づくコミュニケーションが欠かせません。共通基盤がなければ、あなたの指示は伝わらないし、基準とすべき品質・コスト・納期も分かりません。
「見える化」「構造化」「標準化」の3つの原則で、チームの共通基盤を作りましょう(図3参照)。
1)「見える化」で、問題を早期発見・解決する
「見える化」とは、業務活動を目に見える形にすることで、問題の顕在化、問題解決の高速化を行うことです。例えば、下記のような手を打ちます。
・仕事の指示を、口頭ではなく文書にすることで、誤解や抜け漏れを防ぐ。
・仕事の予定を、スケジューラに予約・共有し、納期の遅れを未然に防ぐ。
2)「構造化」で、ものごとを理解しやすくする
「構造化」とは、ものごと全体を、個別の構成要素に分解し、その関係性を明確にすることで、複雑なものごとを理解しやすくすることです。例えば、下記のような手を打ちます。
・一連の仕事を、1つ1つのタスクに分解し、やるべきことを明確にする。
・複雑な状況や関係を図解し、仕事の全体像や見通しを明確にする。
3)「標準化」で、ものごとの基準や認識を合わせる
「標準化」とは、手続きや項目などを、一定のやり方に統一することで、ものごとの基準や認識を合わせることです。例えば、下記のような手を打ちます。
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