ここ数年で急激に増えたフランチャイズ(FC) 塾。その中でも、個別指導の勢いはすさまじい。 現在、40前後の塾で個別指導FCを展開している。各社、加盟者獲得に向け、商品やサービスはもちろん、ビジネスモデルの差異化に入っている。 それぞれのモデルで注目を集めているいくつかの本部を徹底分析し、群雄割拠に入った個別指導FCを比較。今後の動向とその先にある問題に迫る。
海域2「学習教室」
公文式(日本公文教育研究会/大阪)が16,800教室、学研教室(学研エデュケーショナル/東京)が14,000教室と、個別指導塾と比べて教室数が桁違いに多い。これは個別指導に比べて、対象とする生徒の年齢層が低く、商圏は小学校の学区で設定されることが多いからだ。そのために、教室そのものがコンパクトに設計される。
しかし近年、より小型なマーケットを狙う個別指導型FCも登場し、その境界は狭まりつつある。また、ガウディア(ガウディア/神奈川)などのように、学習塾と併設するタイプの学習教室も増えている。
九州の昴が、昨年9月から小学生向け教室の展開を始めた。九州・沖縄8県で始め、今後2年間で50教室を開く計画。
海域3「予備校」
東進衛星予備校(ナガセ/東京)は、映像配信システムとFC方式を用いた大学受験予備校で、現在約800校の校舎を展開。代ゼミサテライン予備校(高宮学園/東京)は400校、後発の河合塾マナビス(河合塾マナビス/東京)も、同様の方式でFC展開をしている。
これらの予備校は、講義を通信衛星やインターネット回線を利用して、全国の加盟校に送信するシステムを用いて行う。さらに高速のインターネット回線を用いることで、オンデマンドによる映像授業サービスを提供する。
河合塾マナビスは設立6年で150教室を達成。映像コンテンツを使った予備校市場は、隠された成長市場と言えるだろう。
海域4「幼児教育」
就学前の児童を対象とする知育教育は、七田チャイルドアカデミー(七田チャイルドアカデミー/大阪)やナーサリー(東京こども教育センター教室/東京)が、以前からFC展開してきた。更に近年、母親の学歴の向上に伴い教育熱心な家庭が増えたことと、少子化による市場の縮小により顧客層の低年齢化が進み、幼児教育に進出する塾企業が増えてきた。
大手塾からは、チャイルド・アイズ(拓人/千葉)の他、アートスタジオのアブラカドゥードル(明光ネットワークジャパン/東京)などがある。また、0歳時からの幼児教室を展開するコペル(コペル/福岡)が、近年FCに新規参入している。
海域5「英会話・英語教室」
2011年の新学習指導要領の施行により、公立小学校5,6年生で外国語授業が必修化となった。また、2012年度から中学校でも英語の授業内容が改訂され、授業時間数、学習単語数が増加した。2013年より高校でも、英語授業のオールイングリッシュ化が図られる。さらに小学4年生から外国語授業が必修化される報道があったり、国際化を背景に英語教育に取り組む企業が出てきたりと、英語教育熱が再熱する雰囲気がある。
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2014.06.17
2015.07.17
株式会社経営教育研究所 代表取締役
教育ビジネスのアナリスト/コンサルタント。専門はフランチャイズ(FC)とデジタル関連。個別指導FCやベンチャーなどの教育機関を経て、2009年に民間教育シンクタンク経営教育研究所を設立。教育と異業種を結ぶエデュイノベーションLLPパートナー。