【続】プロジェクト・マネジメントの原点2

2007.11.12

経営・マネジメント

【続】プロジェクト・マネジメントの原点2

猪熊 篤史

池袋ビジネススクールにおける「ビジネス&バー」のゲストの谷口さんの会社の工場を見学させて頂いた。そこで学んだことをまとめたい。

 整理・整頓など基本が徹底した後に問題になるのは経営と社員、また、社員同士のコミュニケーションである。「こうしろ」、「ああしろ」という頭越しの指示や命令はなかなか聞き入れられないものである。社員が自発的に行動できるような問題の提案制度、社員をリーダーとする問題解決の体制などが導入されたそうである。社員のシフト、組織体制、社内提案の内容、各自の役割などが掲示板にまとめて掲載されていた。社員のコミュニケーションを高めるための工夫がされていた。また、製造の現場と販売・管理の壁をなくすために管理部門を工場の中央部に設置するなど社員がコミュニケーションを取りやすい体制が作られていた。

 製造現場では人が動くことが無駄になる。人ができるだけ動かなくて良いような段取りや道具の整頓、在庫の置き場などが工夫されていた。作業する工員の立場では「ロボットのように働け」と言われているようなものなので、やや気になる面はあったが、年長者と若手の2人が協力して作業する体制になっていて、単調な作業の中でもチームワークなど人的交流があることは良いことだろう。

 生産の流れは鉄板を加工して、出荷するという単純なものである。その過程で微細な加工など高度な技術が用いられている。いかにムリ、ムラ、ムダを省くかということが重要な課題となる。それは、作業を行う人の管理に尽きるようである。管理というのはあまり良い表現ではないだろう。いかに人がいきいきと働けるような環境、体制、仕組みを作るかいうことが経営に求められる。

 工場などにおいて、いかに社員がいきいきと働くことができるかの基盤になるのは「安全」である。これはマズローの欲求の段階でも示されていることである。食事の時間やトイレ休憩など生理的な欲求を満たすことが守られていることは言うまでもないとして、次に満たされなければならないのは安全の欲求である。それをいかに実現するかはオペレーション管理の基本になるようである。そして次の課題が愛と所属の欲求を満たすことである。ここで重要なのがコミュニケーションなど愛社精神を醸成する活動である。勤務時間におけるコミュニケーションに加えて、就労時間後の活動、酒の席や社員教育などの機会なども重要である。

 自我・自尊心の欲求を満たすためには昇進・昇格の機会や社内表彰などの制度の充実が必要であろう。また、公正な評価が不可欠である。さらに、仕事を通しての自己実現が課題になる。仕事を通して新たな知識や能力を身につけること、社員が自ら仕事の意義を見出して仕事にやりがいや楽しみ持つことができると理想的だろう。プロ野球のように競合他社との競争を一種のゲームとしてとらえ、競争を楽しめるようだと良いのだろう。

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