何かおかしくないか?昨今の日本の調達・購買(その1)

2012.06.11

経営・マネジメント

何かおかしくないか?昨今の日本の調達・購買(その1)

野町 直弘
調達購買コンサルタント

私は競り下げ(所謂リバースオークション)自体を否定するつもりはありません。しかし競り下げ調達をやったから調達価格が下がる、コスト削減につながる、というのは全くあり得ない話です。

以前トヨタ自動車の元購買部長の方が講演でおっしゃっていました。
最近のバイヤーは比較見積に流れがちで、自分が購入する品目の価値やコストの妥当性をチェックできなくなっている、と。
日本で一番優れていると言われるトヨタ自動車の調達部門でもこういうことが起きているのです。

公共調達には予定価格制というものがあります。私はこの制度は多くの民間企業には欠けている素晴らしい制度だと思います。
自分が担当している買いものについてそれがどの程度のコストになるのか、またそれをいくらで買うことが目標になるのか、過去の実績や市況の動向、需給の動向を踏まえて精査する能力、これはバイヤーにとって欠かせない能力です。
自分が買うものを知る、自分が買う相手先(サプライヤの状況)を知る、自分が買うものがどうやって作られるのかを知る、こんなこと、あたり前じゃないですか。競り下げも含む入札はそんなこと知らない人でもできます。
自分が買っているものをしらないで勝手にサプライヤ同志が競い合って価格が知らない間に決まっている。競り下げはあくまでも調達・購買の一手法にしかすぎません。米国ISMではオークションの役割はもう終わった、とまで言われています。私はそこまでは言いませんが、競り下げ絶対論的な論調には疑問を感じざるを得ません。

次回はやはり私に問題意識を感じさせた別の記事について書きます。

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野町 直弘

調達購買コンサルタント

調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。

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