グループディスカッションにみる新卒学生の傾向

2012.05.09

組織・人材

グループディスカッションにみる新卒学生の傾向

田中 雄
株式会社ワークスラボ 代表取締役

グループディスカッションの進め方にみる学生たちの傾向。学ぶことにより、最も大切なものを失ってしまっていないだろうか?

 新卒採用の選考プロセスの中に、グループディスカッションを取り入れる企業が多くなってきている。その背景には、書面や1対1の面接ではみることができない、学生の思考傾向や主体性、コミュニケーション能力、ストレス耐性、などをより客観的かつ鮮明に観たいということからだろう。

私も毎年、採用の時期になるとグループディスカッションのアセッサーとして数多くの学生と接する機会を持つ。

 グループディスカッションと一言でいっても、さまざまなケースがある。創造性を主に観るように設計されたものから、論理的に物事を考えられるかを観る課題設定であったり、厳しい討議を余儀なくされる課題設定など企業によって多種多様である。

 しかし、いろいろなケースがあるとはいってもグループディスカッションというぐらいなので、どのケースも参加者(学生)に討議をさせることが目的であり、概ねどのケースにおいても、最終的にはいくつかの選択肢からグループの中で話し合い、一つの答えを導きだすものが主流であるように思われる。

 グループディスカッションの様子をみているといろいろな学生がいる。いくつか例をあげてみると、グループディスカッションという“討議の場”であるにも関わらずほとんど発言をしない学生、良くしゃべるが内容がほとんどない学生、最初のうちは元気だが途中から無口になる学生、周囲への依存度が高く発言のほとんどが周囲の発言への賛同という学生、自分の意見はなく評論家的な発言が多い学生、などどちらかというとマイナス要因が多いものから、口数は多くないものの大局的な視点をもち討議全体をリードする学生、責任感が強く停滞している討議を活性化させようと努力する学生、自分の意見だけでなく周囲の意見を積極的に引き出し討議を進めようとする学生など、まさにさまざまである。

 そんな多種多様な学生の中で、ここ数年で1つの傾向を感じることがある。それは、彼らの討議の進め方である。先ほど、“概ねどのケースにおいても、最終的にはいくつかの選択肢から一つの答えを導きだすものが主流である”と書いたが、その最終的な答えを導き出す際の討議の進め方がほとんど同じなのである。どのように進められるかというと、①求められている要件の抽出と整理、②あるべき姿の明確化、③その姿に最も適している選択肢はどれかの決定、という流れになる。とても論理的なのである。

 論理的で良いじゃないか!と思わると思うが、私もそれに異論はない。グループディスカッションを受けるにあたって、学生達はきっといろいろな準備をしてきたのであろうし、それは決して悪いことではなく、むしろ良いことであると思う。現に多くの大学では、就職活動を成功させるための講義が盛んにおこなわれているのも事実なのだ。

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田中 雄

株式会社ワークスラボ 代表取締役

アセスメントデベロップメント(アセスメントと人材育成を融合した人材開発プログラム)の考えの基、企業における人材開発体系の構築から幹部社員育成プログラムの開発、各階層におけるアセスメントプログラムの開発・実施を手掛ける。 また、慶應義塾大学ビジネススクールの受託研究開発担当として、企業の抱える経営課題の分析から解決に向けたプロジェクトの推進・マネジメントに従事する。

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