ちょっと前になりますが、数年前に花王に転職した、 前職の広告会社の元同僚(女性)と会う機会がありました。 花王は、さすがに日用品メーカーとして長年トップの座に 君臨してきただけあって、製品開発に対するこだわりは、 徹底しているようですね。
ひとつの新製品を出すのにも、
品質や耐久性、安全性などの維持、確保のための
実験や検証に、莫大な時間とお金をかけているそうです。
彼女も、広告会社から花王のようなトップメーカーに
移ってみて初めて、
「ものづくり」
の難しさや厳しさに驚いたようです。
ただ、いくら普段の生活で使う必需品とはいえ、
単に機能や品質が優れているだけでは売れなくなったのが
日本のマーケットですよね。
2004年に就任した尾崎元規社長は、
この点を強く認識しており、就任当初から
「高付加価値戦略」
を推進してきました。
具体的には、
・機能的価値
(きっちりとした技術に裏づけされた機能的なメリット、
効果を実感できる価値)
・情緒的価値
(その商品を使えばきれいになる、わくわくするという
快適さを与える価値)
の2つの価値の向上に力を入れてきています。
その実際の成果として、以前は、
「クイックルワイパーハンディ」
の事例をご紹介したことがありました。
また、2003年に発売したヘアケア製品、
「アジエンス」
も、東洋人に多い「黒髪」をより美しく見せるという点を
機能的価値、情緒的価値の両面で追求することによって、
ヒット商品へと育てることに成功してますね。
さて、花王では、こうした高付加価値戦略における
「情緒価値」
向上を支える調査・分析手法を編み出しています。
具体的には、
消費者が「快適感」を強く感じる商品作りを目的として、
日常生活の様々なシーンで感じる快適感を数値で測定する方法
だそうです。
ここで、同社が定義する快適感は次の16種類。
これらは「感情項目」と呼ばれています。
・熱中・興味
・対人的な好感情
・強さ
・やる気・前向き
・豪華さ
・ときめき
・自身
・感動
・安静・リラックス
・満足・幸福
・爽快・リフレッシュ
・親和・愛情
・活気・陽気
・気楽・気軽
・開放感
・達成感
実際の調査のやり方ですが、たとえば、
「バーゲンで買い物をする時の快適感」
や
「テーマパークで遊ぶ時の快適感」
など、さまざまな「生活シーン」において、
上述の16種類の感情項目のそれぞれについて
消費者に
「全く感じない」(0)
から、
「はっきり感じる」(4)
までの4段階で評価してもらいます。
花王が実施した調査(調査回答者数:3158人)
では、上記2つの生活シーンについては、
・ときめき
・満足・幸福
・活気・陽気
の項目の評価が高かったため、
同社は、これを「娯楽型」の快適感と
名づけています。
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2007.12.07
2008.03.24
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。