B2Bの通信販売事業の先駆者、 「ミスミ」 はご存知でしょうか?
現社長は、創業者の田口弘前社長から強く請われて引き受けた
経営コンサルタントとして著名な三枝匡氏です。
三枝氏は、2002年に代表取締役社長・CEOに就任後、
同社の行き過ぎた「持たざる経営」の修正を行ってきました。
まず、営業マンによる訪問セールスを導入。
コールセンター、配送センターなどのアウトソースの
見直しにも着手しています。
IT部門も社内体制を強化したばかり。
三枝氏は、こうした見直しについて次のように語っています。
(日経情報ストラテジー、December 2007)
“持たざる経営という発想の下に、間違えた施策も
あったと思います。”
“うちにとって最大の営業部隊はコールセンターなんですけど、
それを外注業者にやらせちゃうと、お客さんから怒られる、
怒鳴られたりする痛みを感じるべき社員がそこにいません。”
“流通センターが1つは自前ですが、もう1つが建物丸ごと
外注業者です。ではどちらが仕事の質が高いか、もう歴然と
自社倉庫の方が高いんですよ。”
“ものづくりをしていない商社が、配送するとか、
受注するとか、商社という業態における最も重要な機能を
全部外に出しちゃって、いったい何をやるのと。
ですから、 自社の倉庫や配送センターへの切り替えも
今やっている最中です”
メーカー(販売者)と購入者をつなぐ「商社」である
ミスミが核とすべき強み、すなわち
「コア・コンピタンス」
についての見極めが不十分であったことを三枝氏は
率直に指摘していますね。
確かに、「購買代理店」を標榜し、
顧客密着型のビジネスモデルであったにもかかわらず、
「顧客接点」
の多くを外部に任せてしまったのは
不適切な戦略だったと言えます。
また、三枝氏は、
“コンピュータに関しても、外注任せで担当組織が
あまりに弱くなっちゃって、IT(情報技術)活用に対して
ミスミは完全に出遅れました。IT関係も組織を再構築して、
今年の4月にはEC事業部を発足させました”
と述べています。
同社が、基幹情報システムを丸ごとアウトソースしたのは
93年のことでした。
当時は「インターネット以前」でしたし、
ITは同社のコアコンピタンスではないと考えたのも無理は
ありません。
しかしその後のネット革命の進展によって、
「IT」は、通販会社のミスミにとって極めて重要な
「コアコンピタンス」
であると考えざるを得なくなったのです。
コアコンピタンスも、
時代の変化に応じて変えなければならないと言うこと
でしょう。
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2008.03.11
2008.04.23
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。