ここ数年で一気に増えたFC(フランチャイズ)塾。その中でも個別指導の勢いはすさまじい。 現在、30社以上の企業で個別指導塾のFCを展開をしている。各社とも加盟者獲得に向け、商品やサービスはもとより、ビジネスモデルの差別化に入っている。変わりゆくFC塾、その中でも個別指導塾を徹底的に取材した。群雄割拠に入った個別指導塾FCを比較し、今後の動向とその先にある展望を迫った。
個太郎塾(法人名:㈱個学舎、田代英壽社長、東京都文京区)、城南コベッツ(法人名:㈱城南進学研究社、下村勝己社長、川崎市川崎区)、京進スクール・ワン(法人名:㈱京進、白川寛治社長、京都市下京区)などの集団指導塾から参入する「集団グループ」は、企業規模を背景に、順調に教室数を伸ばし続けている。
明光義塾(法人名:㈱明光ネットワークジャパン、渡邉弘毅社長、東京都新宿区)、ITTO個別指導学院(法人名:㈱ジー・エデュケーション、小野誉之社長、愛知)、スクールIE(法人名:㈱拓人、松田正男社長、東京都中央区)、名学館(法人名:㈱名学館、佐藤剛司社長、東京都港区)、ペガサス(法人名:㈱ペガサスプランニング、田中俊英代表、福岡市博多区)、学研CAI(法人名:㈱学研エデュケーショナル、福住一彦社長、東京都品川区)などの「老舗グループ」は、これまで培ってきたノウハウを活かし、次世代のFCビジネスモデルの構築に着手している。
小資本開業とデジタル教材で、一気に教室数を伸ばす新興グループ
新興グループは、雨後の竹の子のようにここ数年で加速度的に増えた。個別指導のセルモやSSS進学教室をはじめ、フィスゼミ(㈱学凛社、中野耕治代表、東京都国分寺市)、個別指導ヒーローズ(東海出版㈱、鈴木克美社長、浜松市中区)、英才個別指導学院(㈱エイサイ・コミュニケーション、今本雅裕代表、川崎市中区)などが続く。新興の多くが小資本開業、デジタル教材のいずれか、もしくは両方を採択している。
この背景には前述の通り、個別指導のシェアが年々上昇していること、そこに定年退職や早期退職者層の個人起業家をターゲットに、小資本で開業できるFC本部が増えていることがある。実際に多くの新興FCは、加盟初期コストが低く、大手の半額以下、加盟モデルによっては数分の一になるケースも珍しくない。
小資本モデルは、教室の大きさも10坪程度、本部による備品や広告宣伝の縛りも弱く、かつデジタル教材を活用することで、人件費を大幅にカットすることにより、運営コストが低く抑えられる。結果、損益分岐点となる生徒数は、10人程度まで下がり、低い売上でも利益が出やすい仕組みになっている。
また、教室の規模に応じたマーケットを考えると、既存の個別指導に比べて格段に小さなマーケットになる。これを「マイクロマーケット」と名付けたい。マイクロマーケットは、学区一校分でひとつのマーケットを形成するから、町内のあちこちに教室を展開できる計算になる。今後、この細分化されたマイクロマーケットを舞台に、戦いの火蓋が切られることは間違いないだろう。
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2011.09.16
2011.10.07
株式会社経営教育研究所 代表取締役
教育ビジネスのアナリスト/コンサルタント。専門はフランチャイズ(FC)とデジタル関連。個別指導FCやベンチャーなどの教育機関を経て、2009年に民間教育シンクタンク経営教育研究所を設立。教育と異業種を結ぶエデュイノベーションLLPパートナー。