Z会といえば大学受験のための通信教育の老舗。東大・京大合格者のうち、実に毎年そのほぼ半数がZ会出身者と、日本のトップ大学に関して驚異的な合格者占有率を誇る。圧倒的な実績を持つ通信添削システムは一体、どのようにして開発されたのだろうか。そしてなぜ、長年にわたって東大合格者の約半数もがZ会ユーザーなのだろう。同社四代目社長・加藤文夫様にZ会の秘密を教えていただいた。(インタビュー&構成 by竹林篤実)
第三回「一期一会の精神で子どもたちと接する」
■書いた上で間違ってもらうのが添削
「問題作りも添削指導も、人のネットワークを介して時間をかけて自然にでき上がっていったのです」。
良問と添削がセットとなって添削教育は初めて成立する。その意味では問題は簡単すぎては意味がない。
「みんながほぼ満点を取れるようでは添削する必要がありません。逆に難しすぎて、答案が戻ってこないようでは添削自体できない。そのあたりのさじ加減が実に難しい」。
ここにZ会76年の歴史が活きている。
理想的なのは「答案を書くことはできるけれども、できたと思っても間違っている」ような問題だ。何やら禅問答めいてくるが、この問題レベルの設定にまずZ会のノウハウがある。利の追求ではなく、添削を通して子どもたちと向き合うことを何より求めた創業者によりZ会は、添削を通じた子どもたちの学力向上法に関するさまざまなノウハウを地道に蓄積していった。
そのノウハウはしかし、意外なことに添削マニュアルのような形とはなっていないようだ。
「うちの添削はとても自由度が高いのです。添削事業者の中にはあらかじめ添削文例集を添削者に配布しておいて、その中から添削者に選ばせるところもあります。これだと添削者の仕事は適当な文例を選んで書き写すだけ。添削者は楽だし、添削の品質も一定レベルはキープできるでしょう。しかしZ会は逆です。添削者に思いきって任せる。添削してくれる先生が創意工夫して書込める余地を多く取っています」。
誠実で意欲的な添削者にとってはモチベーションアップにつながるやり方ではあるだろう。しかし自由に書いて良いということは、添削者によって添削内容にバラツキがでるリスクを抱えることにもなる。そこでリスクヘッジとして効いているのがZ会が蓄積してきたノウハウの一つ、添削者の資質を見抜く厳しい試験だ。この試験で添削者はまず字のていねいさ・きれいさから始まり添削文の内容や意図までを徹底的にチェックされる。少々頭が良いからといって誰もがZ会の添削者となれるわけではないのだ。
さらには20年ほど前からZ会では添削者のチェッカー制度も取り入れた。これは添削者が添削した答案をベテランがチェッカーとなって抜き打ち的にチェックするシステムである。特に新任の添削者は厳しくチェックされる。添削者の資質をまず厳しく見極め、その上で添削者のモチベーションが上がるべく自主性に任せた添削体制を取り、最終的には品質チェックをきめ細かく行なう。こうしたシステムがZ会クォリティを担保しているのだ。
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FMO第1弾【株式会社Z会】
2007.10.31
2007.10.24
2007.10.17
2007.10.10