2005年に始まったクールビズ。ゴルフウエアに身を包んだおじさまたちを観ながら、どうなることやらと思ったけれど、なんとか定着した昨今。節電対策下のこの夏、環境省が打ち出したスーパークールビズ! アロハや短パンまでOKともいわれるが、どこまで許されるものなのか。
だから、クールビズと謳うとスマートカジュアルを通り越して、ゴルフウエア、もしくは近所でくつろぐ姿になってしまうのでしょう。
この大きな要因は、西洋の男性のように子供のころに洋装のマナー教育を受けていないこと。洋服文化そのもの100年経っていないわけだから仕方がないかもしれません。そこで、今回クールビズを語る前に洋服の歴史について少し触れたいと思います。
さて、ビジネススーツの原点は軍服です。詰襟の軍服と言えば戦争映画によくでてくる‘あれ’です。学生服同様、襟が詰まっているものです。軍服はとにかく体のラインにきれいに沿ったもので肌を露出しません。ひとりひとりが自分を律するためにつくられた服装です。いつしかそれがスーツのジャケット(背広というもの)に変化していきます。詰襟が開き、ラペルができます。かつてはボタンホールだったものがフラワーホールとされました。きちんとした詰襟が開いた分、シャツの襟とネクタイできちんとした首まわりを演出します。それがVゾーンです。1980年までは日本もクラシカルな身体にあったスーツを着る人が多かったようです。
※このあたりをもっと詳細に知りたい方は、落合正勝さん著書『男の服 こだわりの流儀』『男の服装 おしゃれの定番』をお勧めします。基本中の基本から、かなり通な世界まで掌握しています。
その後、時代が変わり、1980年代アメリカからソフトスーツなるものが入ってきます。ゆとりのある大きさで、袖も丈も長め、スラックスもゆったりしてタックも大きく取ってありました。私の同期で先取りファッションの男性はソフトスーツを着ていたようです。今でも、40代50代にこの流れのスーツを着ている人が多くいますが、ちょっとだらしなく、古臭い遊び人風の印象です。
しかしここ数年、日本のスーツはクラシカルスタイルに戻ったと思ったら、行きすぎた方向に向かい、ツンツルテンの窮屈そうなスーツを着用している若いビジネスマンを多くみかけます。まあ、こんな風に時代の変化に伴いビジネススーツも変化してきたのです。
では、アンオフィシャルなスタイルの世界はどうでしょうか。
オフィシャルでなくても、英国やフランス、イタリアの貴族の子女たちは、人前にでるときはきちんとしたカジュアルを身にまとうよう教育されます。
それが、オックスフォードやケンブリッジなどでみられる紺ジャケットとグレイのウールパンツ、白いシャツにネクタイ、黒い革ベルトと革靴というコーディネイトなのです。日本でもセレブが通う高校や中学はこのスタイルを採用しているところが多いようです。日本の大人の男性は、こういうスタイルは学生っぽくて・・・・・・という人もいますが、どんな高級レストランでも受け入れられる最もきちんとしたフォーマルに近いカジュアルなスタイルということになります。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2011.12.15
2012.03.14
株式会社パーソナルデザイン 代表取締役
「自分らしさをデザインする。」をコンセプトに、独自のパーソナルアイデンティティ分析を基に業界・業種・役職に合った「自分らしさ」をスタイリスト、ヘアデザイナー、ボイストレーナー、演出家ほか各種スペシャリストとともに演出をサポートしています。ビジネスパーソンのためのパーソナルプロデューサー、が肩書きです。