営業にとって案件をクロージングして、しっかり収益を上げる筋道をつけることは至上課題だ。いくら商談が好感触であってもクロージングができないのでは、全く無駄な努力であるとも言える。しかし、クロージング力不足を嘆く担当者は多い。巷にクロージング術を伝授する「営業スキル本」も多いが、そもそもスキル以前である場合も少なくないようだ。
・貴社と同業の企業で、同種のソリューションの導入事例はありますか?
良くも悪くも日本企業は横並びだ。自社のソリューションの導入事例がなくとも、競合ソリューションの導入事例
がある業界なら、導入に対するハードルは低くなる。自社の情報収集力が万全でなければ、見込み客自身に聞
いてみてしまうのも手だ。もし、競合先が特定できれば、打ち手も見えてくる。
・このソリューションに限らず、貴社の課題を解決するためのシステム導入に関して予算措置はされていますか?
正直に応えてもらえるか微妙な項目だが、ここはフォローも含めて確実におさえたい情報だ。どの程度用途が限 定されているかにもよるが、何らかの予算措置があるのと、ゼロからの起案では、成約までのハードルの高さと 期間が全く異なる。
おおよそ、各社のアンケートを見ると上記のような項目に集約できるだろう。自社の商品に関心を持ってくれる。または、上記の例のように、セミナーやカンファレンスに来場するということは、何らかのニーズを」持っていることは間違いない。しかし、重要なのは「ニーズだけを追いかけてもクロージングはできない」ということだ。少なくとも、上記の項目のうち、いくつかが当てはまらなければ、先方の条件が整っていないことを表わしており、追いかける努力が無駄に終わる可能性が高いことを意味している。こうした見込み度判定のしくみを設計することは極めて重要なのだ。
営業スキルというと、つい、提案能力や、商談の場での応対などが重要視されるが、実は戦う前に勝負が決まっていることも少なくない。「営業力が弱い」「クロージングスキルが低い」と嘆く前に、その前の時点から見直してみるのも一手だろう。それは、個人でもそうであるし、営業組織の見直しという観点でも同じことが言える。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2007.10.30
2007.12.01
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。