阪神淡路大震災が起きたのは1995年1月17日午前5時46分。その後に集まった義援金の総額は、1,791億円と発表されている。この数字は、1999年6月末日現在の報告だから、その額に到達するまで4年半を要したことになる。
しかし、日本に芽生えた新しいこのような経済の発展には、大きな障害がある。贈与する側と贈与される側の間に立つ政府や団体への不信である。「所有を放棄する」という合理的選択の采配を「所有に執着する」人達がやっていたのでは、結局、何も変わらない。
お金をきっと持っているであろう高齢者の人達が、気前よくお金がなくて困っている若い人達に「贈与」する。「金は天下の回りもの」となる豊かな国づくりを阻むのは、「政権」を所有することが合理的選択だと考えている古い政治家の皆さん達の体質である。
朝日新聞4月24日朝刊の「天声人語」は、政党交付金の初回分80億円が支払われたという事実に対して「震災増税が言われる中、被災者に尽くすべき者が、炊き出しに並んでいるような違和感を覚える」と指摘されている。
善意の集積である義援金1,400億円の配布もまだ明確にはならず、増税の議論をしている間に・・・政党には、例年同様に、政党交付金が流れていく。あまりにも、デリカシーがなさすぎる。
「支持政党なし」という国民が半数を越える時代の、この国難の時期に、いつも通りに政党交付金を出すということを、なんの躊躇もないままに進められていく鈍感さが許せない。これじゃ日本は、「金は天下の回りもの」どころか、「天下の笑いもの」である。ソフトバンクの孫社長の個人総資産は、約6800億円と言われている。仮にである。孫社長が、国家なぞ頼らずに個人総資産の全てを投資したなら、単純計算して年収300万円の人達20万人が1年間働ける自治ができる。「金は天下の回りもの」の世の中の実現である。新しい市場経済のコミュニティが動き出すかもしれない・・・。ビル・ゲイツ氏に至っては、総資産6兆円。05年には国際団体「ワクチンと予防接種のための世界同盟」に、民間最大の7億5000万ドル(約663億円)の寄付を発表している。こうなれば、ゲルゲイツ共和国だっていいな。
安心と安全が保証されるなら、「所有」することを絶対視しない。そういう合理的選択をする経営者や国民が増えていく気運がある中で、日本の各政党は、いつものように政党交付金に群がる。あまりにも古くて、鈍感で、バカらしい。「孫社長が、総理大臣になれば」なんていう事が巷で真面目に囁かれ出しているのも頷ける。いっそ、その位の革新が、この国には必要なのかもしれない・・・。
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有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役
昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。