「レピュテーション・マネジメント」とは、ひとことで言えば、企業(組織)に対する好ましい評判やイメージを構築・維持するための活動。
したがって、「企業ブランド」の構築・維持を目的とするものと言い換えてもいいでしょう。
レピュテーション・マネジメントには、大別すれば、「攻め」と「守り」があります。
「攻め」のレピュテーション・マネジメントは、積極的に情報発信を行うことによって企業の評判を形成していくものです。
広報的なアプローチとしては、プレスリリースを流し、メディアに記事や番組として取り上げもらうことですね。これからは、公式アカウントのブログ、ツイッターや、フェイスブックページを通じてのメッセージ発信、一般消費者とのコミュニーションもますます重要になってくるでしょう。
また、広告的なアプローチは、企業広告を出して、一般消費者や関係者に好意的なイメージを形成してもらういった活動が該当します。
一方、「守り」のレピュテーションマネジメントは、誹謗中傷、根も葉もない噂などの風評・悪評対策です。
新聞、雑誌などの既存のマスメディアに対しては、正確な情報の提供、謝罪・訂正文の掲載依頼、あるいは究極的には訴訟に持ち込むといった手段が採用されてきています。悩ましいのはオンラインです。既存の媒体企業等が運用しているオンライン・メディアであれば、従来のやり方で対応できます。
しかし、悪意を持つ人が運営するWebサイトやブログ、また、オープンな場(ツイッターなど)で消費者が流し、広まった情報に対しては、従来のやり方はあまり有効ではありません。多くの場合、訂正や削除依頼を出す相手が不明であったり、あるいは既に情報が拡散しすぎていて手がつけられないからです。
とはいえ、放置しておくわけにはいきませんよね。私たちは、商品を購入するとき、就職・転職先を探すとき、株・債権を購入するときなどあらゆる状況において、まず検索エンジンを用いて当該企業の情報を詳細に調べるようになってきています。
この時、悪口やネガティブな噂が上位にずらりと並んだとしたら・・・
たとえ、それらが、明らかな悪意を持って流された情報だとしても、それらを閲覧した人としては、当該企業に対するイメージがダウンせざるを得ないでしょう。
そこで、とりあえずの対策としての「逆SEOサービス」を利用する企業がこのところ増加しているようです。「逆SEOサービス」は、いわゆるSEO(サーチエンジン最適化)の技術を活用して、ネガティブな情報を検索結果の上位に表示させないようにするもの。
このサービスを提供している企業は既に相当数存在していますが、具体的には、少なくとも検索結果の1ページ目には表示させず、2ページ目、3ページ目と。できるだけ後ろのページにネガティブな情報を追いやることを目標として各種逆SEO対策を行なうようです。
今、‘とりあえず’の対策と書きましたが、逆SEO対策は、端的に言えば「臭いものにフタ」をするだけ。すなわち、とりあえず、ネガティブな情報をなるべく見せないようにするだけなので、同時並行的に、そもそもの悪臭源を絶つ取り組みが必要なのは言うまでもありません。
また、「火のないところに煙は立たず」と言うように、なんらかの誹謗・中傷や、悪い噂が出てくるというのは、やはり、企業(組織)内になんらかの問題がある可能性が高いわけです。ですから、外部の悪臭源だけでなく、内部の腐ったリンゴを探し出し、取り除く必要もあります。(難儀でしょうけど)
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2012.08.07
2015.07.10
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。