先回は米アップル社の凄い調達について取り上げました。 その中で彼らのCSR調達の監査についてアップル社が公開した監査報告書の内容について、徹底した現場監査を行っているという凄さにびっくりさせられました。 今回は日本を代表するトヨタ自動車の「凄い調達」について取り上げます。
先回は米アップル社の凄い調達について取り上げました。
その中で彼らのCSR調達の監査についてアップル社が公開した監査報告書の内容(「2月14日にアップルが取引先監査報告書を公開し、37拠点でCSR違反のような規範違反があることが判明した。彼らは中国を中心とした全世界の 127施設を対象に調査を行った。この調査は昨年6月、ティム・クック最高執行責任(COO)らを中国に派遣し、独立した第三者の調査チームが取引先の従業員1000人以上を対象にメンタルヘルスや労働環境などの聞き取り調査を実施した」という内容)について、このような徹底した現場監査を行っているという凄さにびっくりさせられました。
このような活動は一般的に調達リスクマネジメントの一手法と言えます。
以前、米国のスポーツ用品メーカーの東アジアのサプライヤが児童労働をさせていたことで米国内での不買運動につながったことがありました。
この事件を発端にして、企業が、たとえ調達先(サプライヤ)の問題であったとしてもCSR違反等により自社のブランド力の著しい低下につながるような「風評リスク」について、事前にリスクを回避、軽減するような活動をしなければならない、という活動がでてきています。
これを調達リスクマネジメントと言うのです。
調達リスクの代表的なものは取引先の事故や天災、その他の経済的、政治的な状況でモノを仕入れることができなくなる「供給リスク」です。今回は日本を代表する企業であるトヨタ自動車の供給リスクマネジメントの話です。
(これはトヨタさんに部品を販売している部品メーカーの方から聞いた話なのでその真偽を確かめた訳ではないことをまずはお断りしておきます。)
「ある部品メーカーさんの営業にトヨタ社の調達部門から問い合せがあった。問い合せ内容は『ある大手素材メーカーのXX工場で火災が発生したが、御社の供給に問題はないか』というものだったそうです。
この部品メーカーの営業の方は驚いたそうです。
何故なら、当該大手素材メーカーの製品(素材)はこの営業マンの部品の主原料ではなく、どう考えてもXX工場の火災と自社の生産がつながらなかったからです。しかし、実はよく調べてみるとXX工場での副産物がこの部品メーカーの主原料の原料であったのです。トヨタ社はそれを把握していたのです。」という内容の話でした。
一般的にこのような管理を「源流管理」と言います。
「源流管理」とは元々「品質管理」の用語であり、主に製造品質のバラツキを管理するために根本となる問題点を見つけ出し、徹底的な改善をすすめるというものです。
近年このような「源流」に起因する品質問題や供給リスクが増えています。
特にハイテク製品については複数の部品メーカーが代替品を生産しているものの、その特定のディバイスの特定の原料は一社の一工場に生産を依存しており、その工場で火災が発生して多くの企業の生産がとまってしまう、というような状況が上げられます。
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2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。