これは、昨年(2010年)後半、メルマガ『スーパー広報術』に連載した記事を統合・一部リライトしたものです。なお、原書に基づいて執筆したため、翻訳版とは日本語の表現が若干異なっています。
そうした商品は必然的により大きな視点、すなわち社会や世界、地球全体といった視点で、より望ましいライフスタイル、生き方を捉え直すことから始める必要があります。
そしてまた、わかりやすく、心に響く「ブランドのストーリー(物語)」が、ブランドミッションと共に、人々の間で語り継がれていくことが望ましい。
目先の顧客ニーズだけを追っている場合ではない時代なのです。
●洞察力がブレークスルーにつながる
企業が持つべき、望ましいブランドミッション(使命)は、消費者の生活を大きく変えることのできる(もちろん良い方向に)インパクトを持つことです。
これは、極めて強い競争優位性の確立につながります。
近年、これを実現しているブランドとしては、やはりiPod、iPhone、
iPadといった製品を世に出した「アップル」が一番わかりやすいでしょう。アップル社の製品は、まさに私たちのライフスタイルを大きく変える力を持っています。
では、こうした「ブレークスルー」(飛躍的な革新)とも言える製品を開発するにはどうしたらいいのでしょうか。それは、消費者、というより、人間そのものについての深い理解、そして、深い理解に基づく洞察力を持つこと。
洞察力とは、人がほとんど意識していない微かな欲求、あるいはすっかり慣れてしまったために、普段は気付かない不平、不満、不便を感じ取る力だと言えるでしょう。これらは、「インサイト」とも呼ばれます。
「インサイト」を感じ取る力が洞察力。もちろん、言うは易しで簡単に身につくものではありません。いわゆるカリスマリーダーと呼ばれる人たちの多くは、洞察力を生まれながらに持ち合わせてるようですが。
大事なことは、中心部ではなく周辺に目を配ること。大勢ではなく少数派の動きに注目すること。というのも、周辺部にいる少数派の人々は、いち早く多数派がまだ気付いていないインサイトを顕在化させ、それを言葉に出している可能性があるからです。
すなわち、企業は、外部で起きている小さな変化、兆しに敏感になる必要があるということです。私の専門分野である「マーケティング・リサーチ」について考えると、基本的に多数派の意見を吸い上げることに向いているアンケート調査だけでは不十分です。
サンプル数は数件でも、消費の現場に行き、現実の顧客とじっくり対話する。あるいは、ありのままの消費行動を観察させていただく。そうすることで、小さな変化、兆しを捉えることができます。また、こうした行動が、洞察力を高めることにもつながります。
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「Marketing3.0」考
2011.01.08
2011.01.08
2011.01.08
2011.01.08
2011.01.08
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。