「大学生はTwitterをあまり使っていないし、利用意向も低い」。そんな調査結果が発表された。そこから、人間関係の構築と可処分時間に関して考察してみたい。
記事は一人の大学生の意見であり、Togetterの投稿での議論では、同世代と思われるユーザーからの異論も散見される。しかし、現役大学生の「人間関係」を基軸とした考え方としては正鵠を射ているように思う。
では、Twitterを「オトナたち(社会人)」はどのように利用しているのか。
オトナの間でもTwitterを「使い方がわからない」「面倒」という、冒頭の大学生の調査結果と同様の理由で使用していない人はまだまだ多い。しかし、そろそろTwitterは「キャズム超え」をして一般化したという見方も多い。そんな現状で、オトナたちの一部(というより結構な数)の人々は、匿名・不特定多数の「フォロアー」の数を集めるのに血道を上げて「follow me」と懸命につぶやき、「フォロアーが1,000名を超えました!」と喜んでいる。極めて希薄な関係構築をしているのだ。もう一方で、ツイート(=つぶやき・投稿)の内容も140字という制限もあり、「今、○○食べてるなう」的な、これまた希薄な内容を、著名人も含めて書いている。
筆者は大学で講師をしていたり、大学生が主催するビジネスコンテストに毎年協力していたりという関係で、大学生のTwitterのフォロアーが多い。上記のオトナたちと何ら変わらない利用実態の人もいるので一概にはいえないが、全体的な傾向としては、大学生はアカウントを増やすことに慎重で、ツイート内容も「つぶやき」というよりは、自分の「考え」や「思い」を文字として表しているように思う。そして、多分に「寡筆」。投稿数が少ない。
Twitterの利用意向とその実態から考えても、大学生の世界は現実世界の仲間が中心であり、それが最も大事なのだ。オトナもかつての自分たちを思い出すとわかるだろう。それに対して、オトナになれば、「とりあえず名刺交換はしたけれど、それっきり」的な関係が山ほどできる。人間関係の構築の仕方が全く違うのだ。もちろん、オトナもプライベートな関係をとても大事にする人も多い。そんな人は、匿名アカウントでmixiを使って限られた仲間うちを対象に楽しんでいたりする。
大学生が寡筆なのは、その時間の使い方に関係する部分が多いだろう。大学のキャンパスで仲間と過ごす時間。授業の時間。アルバイトの時間。意外と、バーチャルに充てる可処分時間は少ない。故に、ツイートしている時間をみると、一人の夜(深夜)に集中している。オトナも仕事の時間に拘束されているものの、既に自分のペースを作ることになれているため、「スキマ時間」でツイートすることができる。そうした違いが大きいのではないか。
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2008.09.26
2010.04.20
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。