団塊世代マーケットは今のところ不発に終わったといわれている。数年前、90兆円の資産を持ち、大量の定年退職する人たちに対して各企業は色めき立ち、シニア市場の拡大を狙った。しかし、結果はまったくの不発だったと言ってもいいような状態だ。結局、団塊世代市場は幻だったのか。
シニア世代マーケットが拡大する可能性はないのだろうか。
そんな中。京王百貨店は、シニア向けマーケットで成功しているという。
厳しい環境下におかれる百貨店の中で、京王百貨店新宿店はなんとか踏ん張っている。有名なサービスとして、「ランドセルの修理サービス」があるが、孫世代のランドセルを修理して使うという、団塊世代独特の価値観を見事につかんでいる例だろう。
またDENTSUデジタルシニア・ラボが発表した調査結果では、シニアでもPCやデジタル機器に精通した層は、積極的なライフスタイルを送っているとの結果もある。
PCが一般ビジネスパーソンに本格的に普及してからやがて20年になろうとしているのだから、70歳の人でも50歳台はPCを毎日扱っていたわけで、ネットワークやPC上の作業はお手の物だ。
シニアだからといって、「健康」「旅行」というお決まりの商品開発などでくくれるものではない。
さらに、こうした層はコミュニティへの参加も積極的だ。mixiでも、50歳以上の利用者は確実に増えている。年率40%のペースで増加し、会員数も50万人に迫ろうとしている。
彼らには、高度成長時代から時代の流れを敏感に感じ取ってきた感性と文化がある。しかも筋金入りのだ。フェアレディZやハーレーだって購入者の多くはシニア世代だ。
一流のバーに行けばよくわかる。堂々とおしゃれに酒を飲むシニアの姿にはとうていかなわないと思う。
旺盛な知識欲、自己スタイルへのこだわり、社会・家族・友人への貢献心、企業は今一度、シニアマーケットに対する考え方を買え、彼らの価値観やニーズに今一度声を傾けるべきだ。この「シニア」という枠組みすら壊す必要があるのだろう。
ビジネスマン全体の給料が下がり続け、若手の失業率も改善しない中、結局のところ、あらゆる業界がこの団塊世代に頼っていると言っても過言ではないだろう。国内市場においては、この団塊世代への対応が、これからの企業の浮沈の鍵を握のひとつであることは間違いない。
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