ノーミング、チームがシナジーを生み出せる状態へと日本チームが成長していきます。それを象徴するのは開幕戦国歌斉唱の光景です。先発選手、控え選手全員が肩を組み一体となった光景です。
全員がチームのために出来る以上のことをする。そのことは本多選手の印象的な行動が物語っています。2度目のフリーキック、今までなら自分自身の力で勝ちをつかみたい本多選手が、遠藤選手にキックを譲ります。何気ない行為ですが、この行為こそが協働意志の表れなのです。チームのためにチームメンバーの力を尊重し最良の成果を生み出す行為なのです。
このような互いを信じ、強みを引き出す関わりが組織シナジーを生み出し、高め、チームに爆発的なパフォーマンスをもたらすのです。
◆もう一つの重要な視点、DoとBe
これまではチームの成長プロセスを中心に日本チームが何故蘇り、そして素晴らしいチームに成長して行ったのかについてお話ししてきました。ここで、もうひとつ大変重要な視点についてお話します。
それは、戦略戦術といった方法論ややり方(Do)がどんな秀逸でも、戦う気持ちや信頼関係、一体感といったマインドセットやあり方(Be)が充実していなければ成果は出ない、勝てないと言うことです。
そして下図に示すようにチーム力はこのDoとBeの両輪がしっかり機能することで生まれると言うことなのです。
チームが何故、目標達成に向けて進まないのか。その一つ目の重大な要因は、リーダーのマネジメントがDoに偏っている、リーダー自身のリーダーシップにBeが欠落しているからなのです。
メンバーが心からリーダーに貢献しようと考える時、そこにはリーダーに対する尊敬や尊重といった想いがあります。若手社員の皆さんと話しをしていてモチベーションが上がらない理由の多くは「上司に人間味が欠けている」「メンバー(自分)を信頼しているように感じられない」「言っていることとやっていることが違う」など実務の能力以前に人としての「あり方(Be)」に問題があるのです。
そんなリーダーをメンバーは信頼できず、モチベーションを無くし、チーム力は最低になります。
そして、二つ目の要因はチームメンバー間のBeの欠如によるチーム力の低下です。チームシナジーの源泉の一つは外界の情報(顧客のニーズや最新の情報など)がチームに取り込まれ円滑に伝搬、共有され活用されることで生まれます。
そしてもう一つは、個々が生み出す多様な発想やアイデアが、互いの課題や悩みに適用されることで一人の力では解決でいない壁を超えるブレークスルーを生み出すことにあります。これが個人では創りだせない本来のチームが持っている力であり、チームの存在意義なのです。
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2010.03.20
2015.12.13
株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事
富士通、SIベンダー等において人事・人材開発部門の担当および人材開発部門責任者、事業会社の経営企画部門、KPMGコンサルティングの人事コンサルタントを経て、人材/組織開発コンサルタント。