日本での電子出版はどこに進むのか、そして新しいモバイル端末を中心とした新たなマーケットは、何を我々にもたらしてくれるのか。
普通のビジネスマンの感覚で言えば、資料や企画書を作成するときに、PCで読めたり検索できたりすることが、あらゆる書籍情報で自由に行うことが可能になるのならどんなに便利なことかと思う。
情報を利用、活用するビジネスマンにとっては、フォーマットや端末の問題などどうでもいい話で、あるべきところにあることが必要なだけだ。
むしろ、iPhone やiPadをはじめとする電子デバイスの登場の価値は、これまで既存の流通ルートを通ることができなかったコンテンツや既存の印刷アウトプットの仕組みに乗ることができなかったコンテンツに日の目をあびる機会を与えたことにある。
既存の流通ルートを通ることができなかった良質なコンテンツは山ほどあるだろう。版元側の利益のみを判断基準として決定されていた状態では、計算できる部数に到達しない、あるいは版元側の販売戦略にあわない、版元側がリスクを負えないなどの理由によって、書籍の形にすらならないコンテンツの量は出版された書籍の比ではないはずだ。
あるいは、通常の印刷物では表現するにあまりに困難なコンテンツは、当然ローコストな印刷、製本による大量配布の仕組みに乗ることができず、これもアウトプットにすらならなかったはず。
電子出版化の動きは、電子書籍の市場がどうのというよりも、むしろこれまで、出版や雑誌など既存のメディアに載ることができることができなかったコンテンツがどんどん表に出てくることを示唆しているのではないか。
スマートフォンや新しい端末、そしてこれまでの既得権益にとらわれない新たな流通マーケットが出現すれば、コミュニケーションのスタイル、手段は確実に変わる。
読書(読むだけではなく、体験する、体感することを考えれば、読書ではなく、験書、感書とでも言うべきか)の楽しさ、学ぶ面白さを、まったく新しい方法で提供してくれるからだ。
すでにiPadは、B2Bの世界では、メジャー端末となるべく歩みを始めている。企業やコンテンツホルダーは出版物にする前に、独自の方法で情報配信を始めようとしているし、すでに始まっている。
既存の権益にまみれた流通システムが次元の違う世界で通用するはずはないのだ。
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