自律的働き方は善で、他律的は悪なのでしょうか?また、働き方を考える上で「合律的」という新概念を意識づけする必要もあるように思います
したがって、もう少し分解して言うと、
自律的とは、自分が正しいと思うルール・やり方を用いて意志的・能動的に事に臨む態度を意味し、
他律的とは、他者が決めたルール・やり方を用いて、追従的・受命的に事に望む態度を意味するといってよいでしょう。
一般的に、だから自律的な働き方は善で、他律的な働き方は悪だと意識されがちです。
しかし、私は、そうばっさり切り捨てて、意識づけしてはいけないと思います。
1つの軸に、自律的な働き方と他律的な働き方、
もう1つの軸に、望ましい点と望ましくない点を置くと、
4つのマトリックスができます。
誰しも、「自律的×望ましい点」と「他律的×望ましくない点」はすぐに思い浮かべることができます。
ですが、よくよく考えると、「自律的×望ましくない点」と「他律的×望ましい点」もいくつか意識することができます。
例えば、自律的は、過剰に自律がはたらくと、自己中心的な暴走や逸脱を生みます。
自律的働き方が、いつしか“我律的”働き方に陥るわけです。
若年層社員で、自律意識過剰の人間ほど、
自分の適当な判断でトラブルを起こしてしまったり、
「こんな古臭い会社やってられるか」といってプッツン切れて、簡単に転職に走るケースはよくあります。
また、他律的な働き方は、時に、効率的でミスの少ないものです。
特に、その会社組織が、過去から営々と築き上げてきたノウハウを持っている場合は、
ヘタに自分勝手に動くより、
組織の持つ暗黙知・形式知に従って(=他律的に)淡々とスピーディーに仕事をやるほうがいいでしょう。
組織が持つ伝統の知を従順に利用することは、賢明な手でもあるのです。
(ただ、これに安住し慢性化させると、他律的の望ましくない面がじわり表出してきます)
いずれにしても、私たちが自律・他律を考える上で重要なのは、
自律が善で、他律は悪と単純に意識づけするのではなく、
自律的働き方にも、よい面と悪い面があり、
他律的働き方にも、消極的な他律と、積極的な他律があることを押さえることだと思います。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
そして、ここからがきょうの記事で最も重要な論点になるのですが、
働き方は、自律的と他律的の2分法を超えて、新しい意識概念を登場させるべきだという考えです。
自分の日ごろの仕事を振り返った場合、
その仕事は、必ずしも自律で行なわれたか、あるいは他律かという両極の2つで分けられるものではありません。
実際にはその中間形態が存在します。
次のページその第三の流れは、双方の律を“合した”という意味で、「...
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【4景】合律的働き方と組織文化
2007.10.17
2007.10.10
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表
人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。