「できる人ほど仕事が集中する」―――これは組織における仕事分布の法則である。そしてできる人・頑張る人ほどカラダを壊す。そんな中、組織には能天気に雇われ続ける人もいたりする。なら、いっそ能力や向上意欲などないほうがシアワセなのかもしれない……そんなことを考えてみる。
「どんなに豊饒で肥沃な土地でも、
遊ばせておくとそこにいろんな種類の無益な雑草が繁茂する。
精神は何か自分を束縛するものに没頭させられないと、あっちこっちと、
茫漠たる想像の野原にだらしなく迷ってしまう。
確固たる目的をもたない精神は自分を失う」。
―――モンテーニュ『エセー』
能天気はその場は明るくやり過ごせるかもしれないが、モンテーニュの言うとおり、確固たる目的(=意志)を持たないがゆえに、最終的にはだらしなく野原をさまよい、そして自分を失うことにつながりかねない。だから能天気ではなく、楽観主義がいいのだ。
楽観主義には意志がある。その意志は、aim(目標)を生む。そのaimはhighでもlowでもなく、自分なりのaimだ。その意志は、そのaimに意味を与える。その意志は、際限なく膨らむゴム風船にモノを詰め込む欲求ではなく、自分の想いを形にした器をこしらえようとする作陶意欲である。こしらえた器に満ちるものを他に分けてあげることも、また意志のうちのひとつである。
「自分は職業人として、どんな器をつくり、あるいは自分自身がどんな器であり、どれだけのものを人に注いでいるか」―――こんなことを考えてみると、ちょっとどきっとする。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2010.03.20
2015.12.13
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表
人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。