初めまして、株式会社 戦略調達 中ノ森と申します。 社名に「戦略」を入れていることから「果たして、戦略的に調達・購買業務を行うこととはどういうことか」、また、経営者として、「戦略とは何か?」ということは常に自問自答しています。 とはいえ、私は研究者ではないので、こうして走りながら考えることによって得た「戦略的」「戦略とは何か?」という事に対する現在の自分なりの考えをご参考までご紹介します。
たとえば、「市場シェアNo.1戦略」では、何をして良いか現場では分かりません。一方で、「ダントツサービスで東京市場攻略で市場シェアNo.1戦略」であれば、価格競争ではなく、サービスで差別化するんだな、全国ではなく、他の地域への影響が大きい東京市場を集中的に攻めるだなという関係者の間での共通理解が生まれ、製品・サービスの開発の方向性、営業、サポートチャネルの行動の仕方に方向性が出ます。ただ、これが「サービス向上のために既存顧客に週一回コンタクト戦略」だと、あまりにも行動にフォーカスしすぎて、週1回既存のお客様にコンタクトしているばよいという考えを促し、本来の目的であった市場シェアNo.1に本当に必要な戦術の発想を妨げてしまいます。戦略立案者が望んだ行動を関係者が取っているか、それによって戦略の目的が達成されているかを常に確認することの方が、戦略論よりも大切な気がします。なぜなら、戦略とは目的達成の手段にすぎません。手段に詳しくなるより、目的を達成することの方が、道具を使う人間としては、大切ではありませんか?
最後に、「勝つ」「勝ち」とは何ですかという問いについては、その組織、人にとっての「目的」「価値」を達成することと考えます。それは、組織、人、時期によって異なります。会社によって、業界内での順位かもしれませんし、社会的な認知度かもしれませんし、自社内での前年対比かもしれません。経営はお客様満足、事業収益、従業員満足、株主価値、地域貢献・社会的責任など様々な目的、価値の間でのバランスを取ることです。そのバランスは20%:20%:20%:20%:20%が良いのか、90%:2.5%:2.5%:2.5%:2.5%が良いのかは誰も分からないのではないでしょうか。そもそも、こうした目的、価値のバランスは組織、人それぞれで異なるものではないでしょうか。
組織や人の目的、価値観は本来ころころ変わるものではありませんが、それでは、なぜ戦略はそれよりも短いスパンで変わることが多いのでしょうか?それは、指導者の戦略についての理解不足もあるかもしれませんが、それよりもバランスを取るには、右か左に常に動かしていた方が、バランスを取りやすいということがあります。自転車で同じ姿勢で静止するのは難しいです。組織も自転車と同じで、一つの方向に動かしながら、細かく軌道修正し、中長期的な目的、価値に向かって進んでいく方がバランスを取りやすかったりします。対立する価値をうまくさばくのは誰にとっても難しいですし、そのバランスを複数の人間の間で同じ数値で均衡させるというのはほぼ不可能でしょう。それよりも、ある時はマーケットシェア重視、ある時は収益重視と戦略の目的を一つの方向に振ってもらった方が、それに従う現場、人は動きやすかったりします。
戦略を立てる上では、「勝ち」よりも「価値」に拘った方がよろしいかと存じます。
「そもそも俺たち/私たちは何をしたかったんだっけ?」
「それはお客様に求められているのか?社会的に価値があるのか?」
この二つの問いを満たす目的、価値を共有し、それに向かってあらゆる戦術、スタッフの行動を導き、統合するもの、それが戦略と弊社では考えています。
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2010.08.25
2010.08.31
株式会社 戦略調達 代表取締役社長
コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます