国および地方公共団体の契約は原則として一般競争入札が会計法予決令で義務つけられています。 一方で民間の契約業務に関しても一般競争入札のような方式が一般的であるか、というとそうではありません。 それでは何故公共調達は一般競争入札を義務つけているのでしょうか?
国および地方公共団体の契約は原則として一般競争入札が会計法予決令で義務つけられています。
これは『入札情報を公告して参加申込を募り、希望者同士で競争に付して契約者を決める方式』だそうです。
一方で民間の契約業務に関しても一般競争入札のような方式が一般的であるか、というとそうではありません。
契約する対象が何か(直材なのか経費なのか、継続購入なのか単発購入なのか)にもよりますが、どちらかというと推奨サプライヤ数社に対してRFQ(Request for Quotation)を出し、相見積りや入札、オークションで最終決定というような所謂指名競争入札(的)な契約方法がスタンダードだと言えます。
それでは何故公共調達は一般競争入札を義務つけているのでしょうか?今回は一般競争入札のメリット・デメリットと新しい契約方法について述べます。
一般競争入札の第一のメリットは公平性・透明性の確保であり、言い換えれば「機会均等」です。
また随意契約に比べて「競争喚起」が可能である、というのも大きなメリットです。特に公共セクターの場合には「機会均等」の確保は第一の目的となります。公告により多くの企業が入札に参加できるということは、公平性という点からは最も良い方式であると言えるでしょう。
一方でこの方式は一般競争入札のデメリットにもつながります。これは業務の煩雑性・手間です。入札図書の作成→入札情報の公告→説明会の実施→入札→開札という一連のプロセスを法令やルールに則って実施しなければならないことは非常に大きな手間を伴います。
もう一点上げられるデメリットは取引先の評価・選定にかかるリスクです。入札の参加に関しては省庁統一資格があり参加資格の審査も事前に行われます。しかし実態としては入札参加資格が得られないということは殆どありません。そうすると落札したサプライヤ(契約業者)がきちんと物品やサービスの提供をしてくれるか、という点が取引先の評価・選定にかかるリスクとして上げられるのです。
民間では全く今まで取引のなかったサプライヤとの取引は通常慎重に進められます。まずは書類審査から始まり、工場の視察、プロトタイプでの確認等を行った上で最初は小さな金額の契約からスタートし、実績に応じて徐々に取引額を増加させていくのが一般的です。民間のバイヤーは「新規サプライヤとの取引によって何らかのトラブルに巻き込まれる」ことを最も恐れます。これが民間での契約業務のスタンダードが指名競争入札(的)である理由の一つになっているのです。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。