デジタルサイネージ、直訳すると「電子看板」だが、看板の域を超え、マーケティングツールとして大きく変貌している。
また、「個別対応」という点を見ても、すでに識別技術によるワン・トゥ・ワンのアプローチはすでに実現している。
日商岩井グループのNGCはパルコで顔認識が可能なデジタルサイネージを活用し、視聴者の向きや場所によって適切なコンテンツ配信を可能にしたというし、現在JRや私鉄各線では、視聴者の属性(性別や世代)を選別する実験が行われており、ある程度の識別はすでに可能だという。
そしてもう一点、デジタルサイネージが将来有望だとされる最大のポイントは、他端末と連動させたインタラクティブ性にある。
これまでのデジタルサイネージでインタラクティブ性を持たせるには、タッチパネルを採用し、ユーザーがパネルを触ることでユーザーとリレーションを図るケースが大半だった。しかし、それでは処理数に限界があり、とてもメディアとしての役割を果たすことはできない。
それが携帯端末と組み合わせることで、インタラクティブなやりとりが可能になった。特に非接触技術を活用した情報提供は、さまざまなリレーションを可能にした。
日本のコンビニでもデジタルサイネージへの取り組みは積極的だ。ローソンでは、自ら出資する株式会社クロスオーシャンメディアを通じて、ローソン店頭のガラス面を活用した「東京メディア」を設置し、映像配信やFeliCa端末を使って商品のクーポンやキャンペーン情報などの取得サービスを行う。また、ファミリーマートも産経新聞やズノーが制作するコンテンツをデジタルサイネージで配信する。
携帯とディスプレイの連携ということなら、2年以上も前から携帯をリモコン代わりにして、大型ディスプレイのゲームに参加したり、携帯で撮影した自分の画像がそのディスプレイに映し出されるといったことは可能だった。もちろんそうした技術の結集がここへきてのデジタルサイネージの盛り上がりになっている。
これからは、大型ディスプレイを見ながら、一人ひとりが思い思いの情報を手に入れ、自分の好きな商品や食事といったサービスを享受したり、さらには友人や家族と情報共有を図ったり、デジタルサイネージを介在としたさまざまな情報提案が行われていくだろう。
非接触ツールとしての携帯端末、さらにソーシャルメディアとの連携技術によって、大型スクリーン上で、その場にいない人でもセッションに参加し、現場とコミュニケーションを図り、デジタルサイネージを基点にさまざまなコミュニティが広がっていく、そんな世界がそこまできている。
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