あなたの会社に「オレ様は仕事ができる」と勘違いしている人はいないだろうか。報告・連絡・相談はせず、すべて1人で仕事をしようとして、周囲の人たちに迷惑をかけたりする。そんな人には、どのように対処すればいいのだろうか。 [吉田典史,Business Media 誠]
「大学を卒業し、会社に入り10年が過ぎるころになると、『仕事をひととおりやってきた』という思いを持つのでしょう。しかし、役職もついていないし部下もいない。だから、自信が持てない。そこで上司や先輩、後輩、取引先から言われたことを否定することで、自分が精神的に優位に立とうしているのではないかと思います」――。
人事マネジメントのコンサルティングを手掛ける株式会社アイウェーブの庄司英尚代表は、30代前半になるとなぜ目の前の仕事を否定しがちになるのか、という問いにこう答えた。
前回の時事日想では『なぜ30代前半になると、“ゆきづまって”くるのだろうか』をテーマに書かせていただいた。私はもう一度、このテーマで取材をしたいと思い、若手社員の人材育成などを手掛ける庄司氏に質問をした。
庄司氏は、30代前半の中には「やってきた感」に浸っている人がいると指摘する。それは、10年ほどのキャリアを積んで“自分は一人前”と感じる高揚感と置き換えることができるという。その思いがエスカレートして「新しいことを受け入れなくとも、俺はデキル」と1人で盛り上がる人がいるようだ。ひどい場合は、誰も近寄れないオーラを漂わせる人もいるという。
この指摘を聞いたとき、私が会社員のころに同じ部署にいた女性社員を思い起こした。その女性は、「私はやってきた感」にどっぷりと浸っていた。
当時、彼女は31歳。早稲田大学第一文学部を卒業後、入社し、ある部署に配属された。だが、そこで2年目くらいに上司や先輩の女性たちから“総スカン”状態に遭う。誰の許可もなく、1人で仕事を進め、トラブルを起こしていた。仕事ができる人ならともかく、入社しわずか数年の素人が勝手に進めるのだから、部署はパニック状態だった。
また、この女性は気が強かった。上司や周囲の助言を無視して、その後も“暴走”を続けた。数年後、上司から追い出しを受け、私がいた部署へ異動になった。部署の責任者である部長からは「ほかの部署は彼女を引き取るのを拒んだ」ということも聞かされていた。
上司や先輩から“総スカン”の女性社員
彼女はいざ仕事をすると、噂どおりだった。勤務時間中、インターネットをぼんやりと見ている。私や課長がその後を通ると、PCの画面を消してしまうので、何をしているか分からない。もちろん報告・連絡・相談はしないし、職場の人とほとんど口をきかない。そして、課長に反論をする。「ちゃんとやっていますから……」「もうやりました……」と。本来、仕事を終えたならそれを上司に伝えて、2人3脚で仕事を進めないといけない。さすがに、これは入社後 2~3年以内にマスターすべきことだろう。
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