御社には“価値あるコンテンツ”を作る人がいますか?
書籍『マーケティングとPRの実践ネット戦略』の筆者であるデビッド・マーマン・スコット氏も、企業にとって今後重要性を増すものとして、興味深い情報や価値あるコンテンツを作って消費者を教育したり情報を伝えたりする「ブランド・ジャーナリズム」を提唱しています。そして、興味深いコンテンツを作るための人材として、既存のマスメディアで働いていたジャーナリストを雇うことを勧めています。
ここでは「ジャーナリスト」「ジャーナリズム」という表現が使われていますが、私はここで語られているの「編集者」の資質だと考えています。編集者というと文章を編集する役割だと思われがちですが、実は違います。編集者の本質は、対象となる市場や読者を知り、読者を惹き付けるために情報を集め、取捨選択して整理してコンテンツを作ったり仕上げたりすることです。
私は昔から「ウェブには編集力が必要だ」と言っています。もちろん自分が編集者だからというのもありますが、ソーシャルメディアの時代だからこそ、「編集」というスキルを見直すといいのではないでしょうか?
・だれでも歌を歌えますが、プロのシンガーは聴く人の心を動かします。
・だれでも料理を作れますが、料理のプロは、いつでもどんな材料でも、食べる人にとって魅力的な料理を仕上げます。
・だれでも絵は描けますが、デザイナーによる「デザイン」は「絵」とは次元が違う役割や効果を発揮します。
・だれでも広告文は作れますが、コピーライティングの専門家ははるかに効果的な見出しを作れます。
・だれでも文章を書けますが、「編集」の専門家の手を経た文章はメッセージの伝達力や魅力が大きく変わります。
たとえばWeb担当者Forumで記事広告を作る場合は、広告主さんから得た情報をもとに、どういった切り口で情報をまとめるべきか、何を訴求するべきかを編集部がコミットして進めます。ときには広告主さんが当初考えていたものとまったく違う内容になることもありますが、得てしてそういう場合のほうが成果は高くなるものです。
オールアバウトの江幡社長も、昔から「ウェブには編集力が必要だ」としていた記憶があります。そのものズバりのソースは確認できませんでしたが、最近の取材でも「もうひとつの特徴としては、われわれが編集にこだわっている、ということです」と語っています。
ユーザビリティの権威であるヤコブ・ニールセン氏も、2000年の時点で「ウェブには独特の文章作法が必要であり、オンライン・コンテンツを熟知した専門のウェブ編集者を雇うべきなのだ」と書いています。
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2008.09.26
2010.04.20
安田 英久
株式会社インプレスビジネスメディア Web担当者Forum編集長
企業のウェブサイト活用やウェブマーケティングに関するメディア「Web担当者Forum」(http://web-tan.forum.impressrd.jp/)を運営しています。