大手スーパーも恐れをなす山梨県の地場スーパー、オギノ。 過去10年間も着実に売り上げを伸ばし、 直近総売上高ベースでの県内シェアは[25%]に達しています。
同スーパーの最大の強みは、
県内全世帯の9割に行き渡っているポイントカード、
約42万枚(人)を通じて得られる
「購買データ」
の徹底活用です。
先日の「ガイアの夜明け」では、
同スーパーのデータ分析について
かなり突っ込んだ内容が放送されていました。
ポイントをご紹介したいと思います。
まず「併売分析」です。
これは一般に
「バスケット(買い物カゴ)分析」
と呼ばれ、一度にどんな商品が同時に買われたかを
分析するものです。
オギノの分析担当者は、併売分析の結果から、
・ジャワカレー辛口(250G)
・バーモンドカレー甘口(125G)
が同時に買われているケースが多いことを発見。
このことから、
消費者が、お好みで異なる辛さのカレールーを
2:1の割合で混ぜ合わせて使っているのだろう
という仮説(推測)を立てました。
そこで、カレールーが置いてある棚の陳列を変更。
レギュラーサイズ(250G)のそばに、
辛さの異なるハーフサイズ(125G)の商品を増やして
置いたところ、売り上げが
「5倍」
に伸びたそうです。
同様に併売分析の結果に基づき、
トンカツのそばに、千切りキャベツのパックを
並べて置いた結果は、売り上げ3倍アップ。
これは、わかりやすい「関連陳列」の例ですね。
あるいは、パスタ製品と乳製品(牛乳やバター類)が
そばに置いてあると、34倍売り上げが伸びることから、
パスタ、乳製品に加えて、
サーモン、きのこといった食材も同時に並べ、
「鮭ときのこのクリームパスタ」
というメニューの提案と合わせた売り場作りを行い、
来店客の人気を集めることに成功しています。
さて、以上は、商品についての分析でしたが、
顧客のライフスタイルや購買傾向を浮き彫りにする分析
も行っています。
オギノでは購買パターンを基に、
購買層をさまざまな切り口(軸)でセグメント化。
・お酒もタバコもやめられない、健康も気になる中高年
・朝はパン食、ベーカリーのパン好き固定客
・健康維持は飲料から。惣菜好きな単身者
などといった表現で顧客が分類されているのです。
オギノでは、こうしたセグメントに基づき、
レシートに印刷される販促クーポンの内容を
カスタマイズしています。
ある客には「ウーロン茶」、別の客には「豆乳」を
お勧めするといった具合です。
顧客全員一律ではなく、あくまで顧客一人ひとりの
購買傾向に基づいた「お勧め」のため高い反応率を
得られているようです。
オギノの分析担当者のコメントが印象的でした。
次のページ“いわば、「現代版御用聞き」ですね。”
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2008.07.29
2009.07.08
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。