みなさんは、とりあえず最初の会社に入った。その会社は、第一志望だったかもしれないし、失意の結果そこに行かざるをえなかった会社かもしれない。しかし本当の勝負はこれから……
そう、これは「働く目的」の問題です。目的とは何でしょうか? 目標とどう違うのでしょうか?目的は、目標+意味のことです。(→詳細はこちらの記事を)
いまのビジネス社会に生きる働き手たちは、日々、「すること」でスケジュールが埋まってはいるものの自分が意味を抱いて「やりたいことは何か」と自問する時間をほとんど設けません。ですから、自分の内面から起こる「目的」を見出さないまま、外側から設定される「目標」に引っ張られる形で走っているのです。
外からの焚きつけで走り続けていると、誰しも消耗します。ニュースで耳にしていた「働き過ぎ」や「過労死」「うつ」の社会問題がいずれ直接的に理解できるときがくると思います。
何十年と続く職業人生にあって、
他人の命令・目標に働かされるのか、
自分の見出した意味・目的に生きるのか―――この差は大きい。
多忙であることが悪なのではありません。労役的に多忙であることが悪なのです。自分の夢・志の下に多忙であるなら、それは本望です。
○「人間とは意味を求める存在である。
意味を探し求める人間が、意味の鉱脈を掘り当てるならば、
そのとき人間は幸福になる」。
―――ヴィクトール・フランクル『意味への意志』
* * * * *
以上、新社会人へ贈るメッセージ3点をまとめます。
各々が入った会社の規模や業界、初任給など、外見は千差万別であるが、スタート地点として本質的な差はない。ほんとうの勝負はこれからである。とりあえず3年、自分なりの結果を出すことに専念する。想定外の環境に遭遇することはしばしば起こるが、そこで大事なことは状況創造、状況対応することである。決して安易に居場所を変えるという選択に走らない。
つまらない仕事はない。仕事をつまらなくしている自分がいるだけである。つまらないと思える仕事も、実は大きな仕事につながっている。日本一の下足番になってやる!という気概を持て。
忙しさに流される生き方をしない。「働く目的」を見出そうとする意識を常に持つ。そのためにいろいろなことを見聞する、試す、挑戦する。いろいろな人に出会いにいく。いろいろな本を読む(意味や目的というのは、行動の中で見えて、固まってくるものであり、人の生き様や情熱によって伝染したり、補強される場合がほとんどだから)。
かく偉そうに書く私も、悩みっぱなし、揺らぎっぱなしの20代でした(いまだにそうですが……いや、人生は死ぬまで悩み揺らいでいくもの)。
最後に言葉を2つ;
○「人は努めている間は迷うものだ」。
―――ゲーテ『ファウスト』
○「他人が笑おうが笑うまいが、自分の歌を歌えばいいんだよ」
―――岡本太郎『強く生きる言葉』
Good Luck !
そしていつかどこかでお会いできることを願って。
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2010.03.20
2015.12.13
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表
人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。