みなさんは、とりあえず最初の会社に入った。その会社は、第一志望だったかもしれないし、失意の結果そこに行かざるをえなかった会社かもしれない。しかし本当の勝負はこれから……
2■あせらない。「いま・ここで」勝たなければ、どこに場所を変えても勝てない
○「最初の仕事はくじ引きである。
最初から適した仕事につく確率は高くない。
得るべきところを知り、向いた仕事に移れるようになるには数年を要する」。
―――ピーター・ドラッカー『仕事の哲学』
最初の会社、最初の配属先、最初の上司は、ドラッカーの言うとおり「くじ引き」のようなものです。すんなり自分に100%フィットするものなどありえません。むしろ違和感のあることだらけが現実というものです。
しかしその違和感を克服していこうとする努力・能力こそが、長き職業人生を渡っていく上でとても大事な要素です(仕事を処理する業務知識や専門スキルよりも大事である)。つまり、状況が求めているように自分を変えていく、あるいは、状況を自分に合うように変えていく―――こうした、いわば「状況創造力」「状況対応力」を自ら育むことによって、自分のキャリア・人生を力強く歩んでいけるのです。これなくしては、青い鳥探しのキャリアとなってしまい、漂流の人生になってしまいます。
私は転職を否定しません。私自身も転職を何度かしました。しかし、転職は何かに向かう途中の手段として決断するほうが有効なものであって、それ自体を目的化すると、往々にしてよからぬ結果をもたらします。
ですから短気を起こして「なんとなく雰囲気が違うんで転職」「ともかく嫌だから転職」は引き留めてください。「能力と配属がミスマッチだ」なんて、自分勝手に言い訳をこしらえないことです。社会人になってまだ日も浅いうちに、
どれだけ自分の適性や能力が分かるんですか。その仕事や、その市場や、その組織が持っているポテンシャルをどれだけ掘り起こしているというんですか。
まずは3年。この節目まで踏ん張り、もがき、納得の実績を勝ち取るまでは軽々しく動かないことです。もちろん、あなたの目の前には転職の“自由”があります。第二新卒採用だとか、いろいろな転職紹介情報がWEB上にあると思います。しかし、その選択肢の“自由”は、小さな自由です。
○「転職は、今いる会社で実績を積み、
“伝説”をつくってからでも遅くはありません。
いや、実績を積んだときはじめて、
転職するもしないも自由な身になれるのです」。
―――土井英司『「伝説の社員」になれ!』
次のページつまり“大きな自由”は、いまいるその場所で何かの結果を...
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2010.03.20
2015.12.13
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表
人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。