『障がい者をチャレンジドと呼ぼう』と提唱する政治って?

2010.02.19

ライフ・ソーシャル

『障がい者をチャレンジドと呼ぼう』と提唱する政治って?

中村 修治
有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

鳩山首相の施政方針演説があったのは先月末である。「命を、守りたい」と始まったその演説には、賛否両論あるのだが・・・。個人的には、次のフレーズが耳から離れない。その点について、強く異議ありである。

健常者が何気に障害者の方々にかける「頑張ってね」という励ましが、障害のある方々にとって、どれだけ理不尽で重いものかを想像したことがあるのだろうか。

チャレンジもしていない一般市民が、障害をもった方々を「チャレンジド」と呼んでいる社会の深い溝と残酷さが想像できないのだろうか。


政治家も、健常者も、神ではない。
障害をもつ方々と同じ人間である。

そういう意味では、みんなが「チャレンジド」なのである。
そして、「チャレンジド」は、第三者が使う言葉ではない。
苦難苦闘乗り越え、立ち向かっている人達だけに芽生える個人的境地だ。

決して一般的な呼称ではない。
それを呼称にした途端に、差別の溝は、もっと拡がる。
社会は、さらに残酷に、ゆがむ・・・。

何度も言うが・・・

政治家は、神ではない。


人々に「使命」を与えるのが役割では、決してない。
国民のひとりひとりが生きてきた「使命」を見つけることのできる社会基盤をつくるのが仕事であってほしい。

障害者差別禁止法を定めるのであるのなら・・・
自分が犯罪の加害者になる可能性。
自分が障害者になる可能性。
自分に理不尽な死が訪れる可能性。
そんな、人間なら平等に持っているであろうコトへの無自覚に、政治家自らが気づくことが、先ずは大事なのではないかと考える。政治家の言うところの「チャレンジド」の議論は、どう考えても、不毛である。

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中村 修治

有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。 その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。

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