~高度成長からバブルを駆け抜け、さらなる未来へ~ 1980年~90年台にかけての日本経済のバブルが膨れ上がって破裂前後の頃の、筆者の商社マン生活を参考に小説化しました。 今も昔も変わらない営業マンの経験する予想を超えた苦楽物語を、特に若手営業マンに対して捧げる応援メッセージとして書きました。
また、タイミングが悪いことに、リビングのテレビから、ニュース
番組のキャスターがリアルな映像と共に、こう報道していた。
「世界一治安が悪いヨハネスブルグの映像です。
全人類初参加総選挙への期待とアパルトヘイト撤廃への抗議デモ
行進に、連日の治安部隊の発砲が行われている模様です。
都市中心部のみならず郊外の住宅地における銃撃戦が激化の一途を
たどっています」
宮田はユキに言った。
「まー、まー。
南アフリカいうても、白人社会が中心だし、他のアフリカの国とは
また違うから・・・」
「すみませんけど、私、行かないから。 日本にいますから。
すみませんが、どうぞお一人で、単身赴任で行ってください!」
そういったまま、寝室に駆け込んで閉じこもってしまったのであった。
< そらそうや。 俺かって行きとうないわ >
翌日、出社すると、大日商事の南アフリカ ヨハネスブルグ店長の
田中から宮田に電話があった。
「あー、田中やけど、宮田くんか?」
「はい、宮田です。 よ、よろしくお願いします!」
「あー、こちらこそ。
お願いが三つほどあるんや。
ひとつは、こっちに来る前に、新日本製鋼(新日鋼)の君津製鉄所
に出張して、全ての設備を見学し、日本の最新鋭の製鉄技術を学ん
でおいて欲しいんや。
新日鋼の常務にお願いしといたから、よろしゅうな。
こっち来たら、南ア唯一の大手製鉄所を相手に商売してもらう
よってにな」
< このおっさんも関西弁かいな・・・ >
「あ、ハイ! 了解致しました」
「それとな、日本でも報道されてると思うけど、正直、こっちの治安
状態は最悪や。
そやから、まずは君だけ赴任してくれ。
しっかり足場を固めてから奥さんを呼ぶように」
「了解致しました!」
「それと、こちらに赴任する際、ヤンスマッツ空港(ヨハネスブルグ
にある南ア最大の国際空港)に到着しても、空港から絶対にタクシ
ーを使ったらあかんで。
ええな。
ヨハネスブルグ店から、専属のドライバーを迎えに行かすから」
「りょ、了解致しました!」
「もう一度言う。 絶対に空港でタクシーに乗ったらあかんで!
それでは会えるのを楽しみにしてます。
とにかく気いつけてきてな」
< 空港から絶対にタクシー乗ったらあかん国って。
今まで聞いたことないな・・・
いったいどんな国や・・・ >
次号に続く
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商社マン しんちゃん。 走る!
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