私たちは餌付けされたサーカスの玉乗り熊ではない。 動機を「外発×利己」に置くことは反応的な働き方であり、ついには反応疲れが出る。 長いキャリアを行く過程で大事なのは「内発×利他」に動機をシフトさせていくことである。
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まず、本記事の結論を先に書いておくと、
働く動機を「内発×利他」にシフトすると・・・
自分が元気になる。自分がひらいてくる。そして自分が社会とつながる。
そして、そうした個人が増えることで社会は強くなる。
その仕事の動機は内から湧いてきているのか
それとも外から焚きつけられているのか
さて、働く動機について2つの軸で分類してみる。
1つは「内発的動機と外発的動機」の軸。
もう1つは「利己的動機と利他的動機」の軸。
まず1つめの軸について。
内発的動機とは、自分の内側から湧き起こってくるもので、
仕事そのものの中にそれを行う理由を見出すものである。
他方、外発的動機は、自分の外側(他者)から与えられるもので、
仕事の周辺に行う理由がある。
外発的な動機は、賞罰(アメとムチ)が典型的なもので、
つまり、成果を上げれば金銭的な報酬や地位・名誉が与えられ、
逆に成果を上げなければ尻を叩かれるといったような仕組みによって生じさせられる。
また、その仕事は他人がカッコよく見てくれるとか、
その資格を取っておくと採用する側が有利にしてくれるといったように、
理由の起点が自分の外にあり、
他者から意欲を焚きつけられる場合が外発的動機となる。
一方、内発的な動機は、仕事そのものの中に見出す面白みや楽しみをいう。
そこに強い充足感を得ているので、それをやっていること自体が最大の報酬となる。
したがって外側(他者)からの刺激は不要である。
内発的動機は持続的で意志的である。
それに対し、外発的動機は単発的で反応的になる。
成果主義は基本的には、金銭的な報酬による刺激策で外発的動機を誘うもので、
私たちはときにそうした刺激に反応して意欲を燃やす場合があるが、
それのみで長いキャリアの道のりを進んでいくには限界がある。
なぜなら、人間は刺激疲れ、競争疲れしてしまうからだ。
中長期にわたってその仕事をまっとうし、自分という才能を開いていくには、やはり、
その仕事、その職業、その職場に内発的な動機を持たねばならない。
心理学者ミハイ・チクセントミハイは、
仕事自体の中に内発的動機を見出し
それに没入するときの包括的感覚を「フロー」と名づけたことで有名である。
彼は著書『フロー体験 喜びの現象学』で次のように述べる。
「人間の生物学的性向を利用する社会的に条件づけられた刺激/反応のパタンに
従っている限り、我々は外から統制される。
我々は身体の命令からも独立し、
心の中に起こることについて責任を負うことを学ばねばならない」と。
次のページ仕事の内容そのものだけが、内なるやる気を呼び覚ます
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【志力格差の時代】
2010.02.01
2010.01.17
2009.12.28
2009.12.08
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表
人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。